Heガス冷凍機型クライオスタットとワイセンペグカメラによる構造物性研究 構造物性の研究では,極低温,高温,高圧,電場や磁場の印加下における回折実験が重要となる. 写真のクライオスタットは1981年頃に大阪酸素に図面を持ち込んで制作依頼したHeガス冷凍機型のクライオスタットで, X線用としては国産一号機のものである.検出器側は,最初はシンチレーション検出器であったが,一次元位置敏感型検出器(PSPC)にかわり, 写真の装置では1994年頃にマックサイエンス社に制作依頼した湾曲イメージングプレートを用いたワイセンベルグカメラと層線スクリーンとソーラースリットが2θ軸に搭載されている. 物性測定の温度変化で相転移が見つかるとその構造変化が知りたくなる.少し前まではX線回折では実現不可能であったが, 低温でのX線回折実験ができる装置が実現するとさまざまな分野の人が新しい科学の分野と物質を持ち込んでくる(tool-driven revolution). その一例としてここで示しているのは34 Kで電荷秩序相転移するα’-NaV2O5の低温相で出現する超格子反射で,相転移が発見された1996年頃の早い段階で取ったものである. 見えている反射はすべて超格子反射であり,k=1/2が通るように層線スリットを付けて(h 1/2 l)面内のワイセンベルグ写真を撮り逆格子空間に変換している.