SiC(0001)面上グラフェンの成長機構
エピタキシャルグラフェンは,SiC表面に存在するステップを起点として核生成し,その後テラス上へと成長する.
具体的には,(a)のようなステップあるいはステップが集合する部分で優先的にシリコンが脱離し,
残存した炭素が集まってグラフェン核が形成される.
その後,(b-d)のようにグラフェンは上のテラス上へと成長が進み,(e)のように隣のステップに存在するグラフェンと合体することで,
(f)のような全面を覆うグラフェンが形成される.実際には,グラフェンは1層ずつ成長するため,均一な単層グラフェンの形成が可能となる.
ただし,第1層目の炭素原子層はバッファー層であり,グラフェンとしての特徴は示さないため,第2層目がグラフェンとなる.
本特集号「電子線で何が観測できるか」では,この15年間に発展してきた装置や解析法を駆使した研究成果を紹介したいと考え企画しました. 特に検出器の進展は著しく,単電子を検出することができるまでになっています.これまで見ることができなかったナノサイズの微細な構造が 原子分解能で可視化できるようになり,今まで検出が不可能であった微弱な電磁場やスペクトルを検出できるようになってきています.
そこで,今回は,下記のような研究分野での電子線を用いた研究について,物理系,材料系,生物系の先生方に原稿を執筆していただきました.
(1)局所構造解析法の進展,(2)超高速時間分解電子回折法の進展,(3)生物系分野でのクライオ電子顕微鏡法の発展,(4)発光分光法による軽元素の組成分析技術の発展