ブックタイトル日本結晶学会誌Vol62No2
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日本結晶学会誌Vol62No2
クリスタリット混合原子価のイオンが占める場合,それぞれヤーン・テラー効果や電荷秩序に伴い,対称性の低下を伴う構造相転移をしばしば起こす.(防衛大学校機能材料工学科下野聖矢)軌道自由度Orbital Degree of Freedom軌道自由度とは,縮退したd軌道(あるいはf軌道)が電子で満たされていない場合,どの軌道を電子が占有するかという自由度のことである.例として3d遷移金属イオンが6つの陰イオンがつくる正八面体の中心に位置している場合を考える.自由空間で五重縮退していたd軌道が結晶場により,エネルギーの低い三重縮退のt 2g軌道とエネルギーの高い二重縮退のe g軌道に分裂する.d電子の数が0,3,5,8,10以外の場合,電子が縮退したどの軌道に占有してもエネルギーが同じであるため,どの軌道に占有するかという自由度が存在する.軌道自由度が物性に与える影響を調べる際には,軌道自由度をもつイオンを軌道自由度をもたないイオンで段階的に置換(軌道自由度の希釈)した系の物性を系統的に調べることが有効である.(防衛大学校機能材料工学科下野聖矢)124日本結晶学会誌第62巻第2号(2020)