ブックタイトル日本結晶学会誌Vol62No1
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日本結晶学会誌Vol62No1
石井真史,上杉文彦,小澤哲也図7結晶数を2,4,6とした場合の学習時と検証時の精度と損失.(Accuracy and loss during learning and validation fortarget crystals of 2, 4, and 6.)正解に近いほど1に近くなり,後者はどれくらい正解と離れているかを表す.横軸は学習数(エポック)を表している.いずれの結晶数でも,Accuracyを見ると学習時と検証時で差はなく,過学習に陥っていないことがわかる.結晶の数を増やしていくにつれて精度は少しずつ下がっていき,損失は増加する.結晶数4の実験結果では,ベンチマークである結晶数2の実験で1に近かった精度が,0.8近くに一挙に下がっている.これは想定どおりGaAsやInAs,Geの回折パターンが似ていることに起因すると考えられる.実際これらの材料の代表的な三方位[001][011][111]電子線回折パターンを図8に示す.Geについては,禁制のために[001]でパターンに明確な違いが見られるが,GaAsとInAsについては,分類に際してスポットの間隔を理解する,ほかの材料とは本質的に違った学習が必要になると考えられる.CNNの場合,特徴量を引き出すために揺らぎを許容する操作(マックスプーリング)が加わっているため,この間隔の理解を妨げていると考えられる.構造に多様性をもたせた結晶数6の実験結果では精度・損失とも収束が遅く,図の横軸で示すとおり,学習のエポック数をほかの実験の2.5倍の100まで増やしている.結晶数4の実験結果と比較すると,精度の悪化は思いのほか進んでおらず,ほぼ0.8を維持している.以上の実験から,スパースな回折パターンからでも分図8Ge,GaAs,InAsの[001],[011],[111]入射の電子線回折パターン.(Electrondiffractionpatternsof[001],[011], and[111]for Ge, GaAs and InAs.)類は0.8程度の精度で可能であることがわかる.特に異なる結晶数4の実験からは,人による判断が難しい場合についても,ある程度の客観評価ができていることを示唆している.一方で,結晶数4~6の精度の悪化に比べて結晶数2~4の悪化が著しかったことから,類似なものの判別能力が不足しており,教師データの工夫など情報の40日本結晶学会誌第62巻第1号(2020)