ブックタイトル日本結晶学会誌Vol61No2
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日本結晶学会誌Vol61No2
坂部知平法4)を完成させました.これは極細いキャピラリーの先端にタンパク質結晶を直接凍結接着する方法で,従来のようなループや凍結溶媒もついていないので正に神業と言っても過言ではありません.しかも半自動結晶凍結マウント装置まで開発していました.このほか,ほとんどのタンパクに存在する硫黄元素の異常分散を利用してタンパク質X線結晶解析を行う,いわゆるS-SAD法の研究を行いました.もう1つ私が驚いたのは渡邉信久君が北大で教員としての素質を見事に開花させたことです.2007年名大教授になってからは1.2 GeVという小型シンクロトロンでタンパク質の解析データが取れるビームライン(BL2S1)の建設に従事し,筋肉中にあるトロポニン研究の第一人者である前田雄一郎博士が私に「私にとって世界で最も使いやすい良いステーション」と評価したビームラインを完成させました.研究面ではタンパク質結晶の高圧下での構造解析を行っていました.教育者としてもますます発展し,皆から頼られていましたが,道半ばで病魔に襲われたことは言葉には表しがたい思いです.文献1)N. Watanabe, K. Sakabe, N. Sakabe, T. Higashi, K. Sasaki, S.Aibara, Y. Morita, K. Yonaha, S. Toyama and H. Fukutani: J.Biochem. Japan 105, 1(l989).2)N. Watanabe, A. Nakagawa, S. Adachi and N. Sakabe: Review ofScientific Instruments 66, 1824(1995).3)N. Watanabe, M. Suzuki, Y. Higashi and N. Sakabe: J. SynchrotronRad. 6, 64(1999).4)http://altair.sci.hokudai.ac.jp/g6/Topics/2005/ScienceTopic.htm(高エネルギー物理学研究所名誉教授,総合研究大学院大学名誉教授坂部知平)140日本結晶学会誌第61巻第2号(2019)