ブックタイトル日本結晶学会誌Vol61No2
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日本結晶学会誌Vol61No2
高良和武先生を偲んでで,コロキュームのときはいつも一番前の席に座り,発表者に色々な質問をして熱心に議論を交わしていて,その姿が大変に印象的でした.」と言われていました.そう言われる高良先生の高良研コロキュームでの姿勢と熱心さは,高良先生の語られるラウエ先生の姿勢と熱心さそのものなのでは,といつも思っていました.また,『ラウエ先生は,「愛することを学びなさい」,「勇気をもちなさい」といつも語っていた.』と高良先生からよくお聞きました.ナチ支配のドイツの政治状況を経験したラウエ先生の心から出る言葉であった,とのことです.写真2は,ドイツ滞在中の高良先生ご夫妻とラウエご夫妻の写真です.高良先生を通して聞いたラウエ先生の「愛することを学びなさい」,「勇気をもちなさい」という2つの言葉が,高良研コロキュームで私の記憶に最も残っている言葉です.高良先生の生き方は自然体なので,その言葉を特にご自分の座右の銘にしていたわけではないと思います.しかし,高良先生の生き方や私達に接する先生の姿そのものが,その言葉に通じていたので,私の心に深く残ったのだと思います.研究や人生に関する言葉のインパクトは,その言葉を語る人の生き方や人柄に大きく依存する,とつくづく実感させられます.高良先生に出会えたこと,多くのことを教えていただき大切なことを学ぶことができたことを,心から感謝写真2後列左から,高良先生,ラウエ先生,ボルマン先生,前列左から,ラウエ夫人,高良夫人.1957年,ベルリンにて.しています.在学中はもとより就職後も,研究に行き詰まったり元気が出なくなったときに,高良先生からいただいた励ましの言葉と笑顔が,私にとって大きな心の支えでした.高良先生,本当にありがとうございました.天寿を全うされた高良先生のご冥福を心からお祈りいたします.(東京大学名誉教授雨宮慶幸)日本結晶学会誌第61巻第2号(2019)137