ブックタイトル日本結晶学会誌Vol61No2
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日本結晶学会誌Vol61No2
橋爪大輔物を使った研究を遂行するにあたり大きなメリットであった.各研究は,それを行っているときは,研究が意味する全体像を意識することなく,一期一会で行ってきた.しかし,後になって見てみると,反応中間状態モデル系から始まり,共役構造,結合開裂,ラジカル軌道,分子軌道,反応機構など,基礎的な化学の教科書にある,化学の基本に立脚した研究となっていることがわかる.このような事項は,安定な標準的結合を研究しても観測することはできない.本研究でターゲットとしている不安定な結合は,自然な状態では存在しない極限的な化学結合である.しかし,限界は一般性の延長にあり,一般性を理解する上で大きな助けになっていると研究を通じて確信した.本稿を終えるにあたり,EDD解析の最初のきっかけを作っていただいた,電気通信大学岩崎不二子先生,安井正憲先生に深く感謝致します.研究の黎明期に5配位ホウ素および,炭素化合物をご提供いただいた広島大山本陽介先生には感謝の言葉もありません.理研に移ってからは,多くの研究者に共同研究,激励など多方面に渡りご支援いただきました.特に玉尾皓平先生,松尾司博士と共同研究を行うことがなければ,元素化学分野のへ展開はなかったでしょう.本研究は合成化学者との共同研究なしに行うことはできない.試料を提供いただいた多くの共同研究者に心より感謝致します.最後に研究全般に渡り,放射光実験や絶え間ない激励をいただいた尾関智二先生に深謝致します.文献1)N. K. Hansen and P. Coppens: Acta Crystallogr. Sect. A, 34, 909(1978).2)M. Yamashita, Y. Yamamoto, K. Akiba, D. Hashizume, F. Iwasaki,N. Takagi and S. Nagase: J. Am. Chem. Soc. 127, 4354(2005).3)R. F. W. Bader: Chem. Rev. 91, 893(1991).4)K. Akiba, Y. Moriyama, M. Mizozoe, H. Inohara, T. Nishii, Y.Yamamoto, M. Minoura, D. Hashizume, F. Iwasaki, N. Takagi, K.Ishimura and S. Nagase: J. Am. Chem. Soc. 127, 5893(2005).5)D. Hashizume, N. Suzuki and T. Chihara: Chem. Commun. 1233(2006).6)N. Suzuki, M. Nishiura and Y. Wakatsuki: Science 295, 660(2002).7)K. C. Lam and Z. Lin: Organometallics 22, 3466(2003).8)E. D. Jemmis, A. K. Phukan, H. Jiao and U. Rosenthal:Organometallics 22, 4958(2003).9)International Tables for Crystallography, Vol. C, ed. A. J. C. Wilson,Kluwer Academic Publishers, Dordrecht(1992).10)R. Rodriguez, T. Troadec, D. Gau, N. Saffon-Merceron, D.Hashizume, K. Miqueu, J. -M. Sotiropoulos, A. Baceiredo and T.Kato: Angew. Chem. Int. Ed. 52, 4426(2013).11)M. Horie, T. Sassa, D. Hashizume, Y. Suzaki, K. Osakada and T.Wada: Angew. Chem. Int. Ed. 46, 4983(2007).12)Y. Shoji, T. Matsuo, D. Hashizume, H. Fueno, K. Tanaka and K.Tamao: J. Am. Chem. Soc. 132, 8258(2010).13)Y. Sohtome, G. Nakamura, A. Muranaka, D. Hashizume, S. Lectard,T. Tsuchimoto, M. Uchiyama and M. Sodeoka: Nat. Commun. 8,14875(2017).プロフィール橋爪大輔Daisuke HASHIZUME国立研究開発法人理化学研究所創発物性科学研究センターRIKEN Center for Emergent Matter Science(CEMS)〒351-0198埼玉県和光市広沢2-12-1 Hirosawa, Wako, Saitama 351-0198, Japane-mail: hashi@riken.jp最終学歴:東京工業大学化学専攻博士課程専門分野:構造化学,有機化学,無機化学,超分子科学,材料科学現在の研究テーマ:特異な結合状態解析,ソフトマテリアルの構造解析,有機薄膜構造解析趣味:海遊び,Soul Musicを聴くこと110日本結晶学会誌第61巻第2号(2019)