ブックタイトル日本結晶学会誌Vol61No2
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日本結晶学会誌Vol61No2
Bilbao Crystallographic Serverの入門のもの.その行列は図5の左側で表示されている.F12/d1の設定では(図5の右側)単位胞が2倍大きくなるのでそれぞれ+cという並進ベクトルで関連付けられているものも考慮しなければならない.元のC12/c1設定ではそれはただの隣の単位胞となるが変換後のF12/d1設定では同一の単位胞のものとなる.例えば図5の4番目の対称操作は原点を通るc映進面である.F12/d1の設定に変換すると以下の結果が得られる.?101 20??1000 ??1010??1001 01 0 0?0100 ??0100??001 2 0??0011? ??2????002 0? = 4??0100 ?? ?? ?0011 4?操作の性質は変わらないのでその行列表現の線型部分は同じ.一方,並進部分は0,0,?から?,0,?に変わった.c軸に沿った半周期の並進が対角線の四分の一の並進になり,c映進面がd並進面に変わった.その他の対称操作も同様な分析ができる.WYCKPOS:ワイコフ位置のリストを表示するプログラム.標準設定ならITAと同じ結果となるが,その他の設定の場合はITAに載っていない.上記ITA第15番C12/c1のF12/d1設定を再利用すると図6の結果が得られる.座標の変換は反変性なので(P,p)-1という行列で得られる.この例だとC12/c1(x,y,z)はF12/d1(x+z/2,y,z/2)となる.例えば,4c位置(?,?,?)は(?+?×?,?,?×?)=(1,?,?)となる.BCSはそれと並進操作で等価である(0,?,?)座標を示す.なお,+c(F12/d1設定で?,0,?)で得られる座標は表示されていないのでそれらを考慮すると多重度は2倍となる.図6 F12/1d設定でのワイコフ位置HKLCOND:消滅則を示す.空間群番号を入力すればその結果が表示されるので特に説明することはない.MAXSUB:入力した空間群の最大部分群を示す.「Show WP Splittings?」というオプションをチェックするとワイコフ位置の分割も表示される.なお,空間群の標準設定しか利用できないのでその他の設定が必要なら上記のGENPOSかWYCKPOSの結果を利用して変換することになる.SERIES:同型空間群のリストを示す.無限の同型部分群が存在するので指数27までの結果しか表示されない.それ以上の結果が必要な場合は2つ以上の段階に検索を分ける必要がある.一例としてC2/cの結果を示そう.C2/cの場合は,3つのシリーズが存在し,その変換行列は行列・ベクトルペアで表現すると(a,pb,c|0,u,0),(a-2qc,b,pc|0,0,u),(pa,b,c|u,0,0)である(p,q,は素数,uとqは0とpの間).一例として,図7にシリーズ1の結果を示そう.各空間群にshowというリンクが付き,それを開くと詳しい結果が示される.図7(右)には,指数5の同型部分群が示されている.変換行列は同じだが原点の移動は5つの可能性がある.NORMALIZER:空間群の正規化群(文献4)を参照).図8は入力画面を示す.空間群番号を入力(chooseというボタンで空間群タイプを選んでもよい)し,3つのオプションの中から1つ選ぶ:1 Euclidean(general metric):選択空間群と同じ格子定数をもっている一般正規化群を表示する.2 Enhanced Euclidean(specialized metric):選択空間群で制限されない格子定数の比・値を選ぶ.3 Affine:最大可能な正規化群を表示する.日本結晶学会誌第61巻第2号(2019)85