ブックタイトル日本結晶学会誌Vol61No1

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概要

日本結晶学会誌Vol61No1

日本結晶学会誌61,1(2019)?特集電子線で何が観測できるか特集「電子線で何が観測できるか」にあたって特集号担当:森茂生,浅香透,水牧仁一朗Shigeo MORI, Toru ASAKA and Masaichiro MIZUMAKI: Recent Development ofElectron Beam Analyses日本結晶学会誌で電子線を用いた研究に関する特集号が出されてから約15年が経過しました.当時は収差補正技術を搭載した走査透過型電子顕微鏡が登場し,新しい原子分解能観察法として,高分解能電子顕微鏡法に代わって,高角散乱環状暗視野走査透過電子顕微鏡法(High-angleAnnular Dark Field Scanning TEM;HAADF-STEM法)が登場したころでした.本特集号「電子線で何が観測できるか」では,この15年間に発展してきた装置や解析法を駆使した研究成果を紹介したいと考え企画しました.特に検出器の進展は著しく,単電子を検出することができるまでになっています.これまで見ることができなかったナノサイズの微細な構造が原子分解能で可視化できるようになり,今まで検出が不可能であった微弱な電磁場やスペクトルを検出できるようになってきています.そこで,今回は,下記のような研究分野での電子線を用いた研究について,物理系,材料系,生物系の先生方に原稿を執筆していただきました.(1)局所構造解析法の進展(2)超高速時間分解電子回折法の進展(3)生物系分野でのクライオ電子顕微鏡法の発展(4)発光分光法による軽元素の組成分析技術の発展最近では,X線回折装置と併せて,電子顕微鏡は物質・材料開発には必須の解析装置になってきました.本特集号が,中性子やX線を用いている結晶学会の会員の方々をはじめとして,結晶学に携わる研究者の方々に電子顕微鏡の現状を理解していただき,電子線とX線・中性子線を相補的に用いた異分野の融合研究が盛んになっていくことを期待しています.最後にこの誌面をお借りしまして,お忙しいなか,快く原稿をご執筆いただきました先生方に,担当者一同厚くお礼申し上げます.日本結晶学会誌第61巻第1号(2019)1