ブックタイトル日本結晶学会誌Vol61No1
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日本結晶学会誌Vol61No1
安永卓生図1単粒子解析法の概要.(Overview of single particle analysis.)(上段)タンパク質やその複合体の同一粒子を入った液を,孔(0.5~2μm程度)のあいた炭素膜に乗せ,その後,濾紙などで余分な液を吸い取り,液の薄膜を孔に張った状態で,液体エタンやプロパンなどに急速に浸し,10 5 K/sec以上の速度で凍結する.これにより,水は結晶を作ることなく,液体の状態に近いガラス状で凍結される.その際,薄膜内では,粒子がさまざまな向きを向いた状態で固定される.(中段)さまざまな向きを向いた粒子を計算機上で集め,三次元像に再構成する.(下段)実際のクライオ電子顕微鏡像の例(左)と三次元像(右)を示している.(左)黒がタンパク質であり,βガラクトシダーゼの例で,RELIONソフトウェアのチュートリアルデータより著者が加工したものである.抽出した粒子は,白い○で囲われている.(右)PDB(6CVM)で公開された1.8 Aの密度マップをchimera 17)を使って可視化した.編集部注:カラーの図は電子版を参照下さい.図2電子線トモグラフィー法により観察された細胞.(Cell architecture observed by cryo-electron tomography.)(上段)細胞などを電子顕微鏡撮影用のグリッド(カーボン膜などが張られた金属)上に培養する.(中段)観察したい視野を電子顕微鏡内で傾斜させながら撮影し,三次元像に再構成する.(下段)実際に撮影された細胞の一部(糸状仮足:細胞から伸長した細胞運動に必要な構造)の連続傾斜画像の一部を示したもの.異なる角度からの視野であるため,その観察像が異なり,内部に繊維束(アクチンというタンパク質からなる)が観察できる向き(中,右図)とできない向き(左図)が存在している.44日本結晶学会誌第61巻第1号(2019)