ブックタイトル日本結晶学会誌Vol61No1
- ページ
- 30/80
このページは 日本結晶学会誌Vol61No1 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは 日本結晶学会誌Vol61No1 の電子ブックに掲載されている30ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
日本結晶学会誌Vol61No1
羽田真毅2.実験2.1水薄膜を蒸着するシステムの時間分解電子線回折装置への導入図2Aに超高速時間分解電子線回折装置を示す.窒化シリコン薄膜(膜厚20 nm)基板上への水分子を蒸着するシステム(図2B)は,時間分解電子線回折装置の試料チャンバーに導入される.脱イオン水を入れた水タンクに0.1 L/minの流速で圧縮空気を吹き込み,バブリングを行った.ここで,パイプ内での凝縮を避けるために水は室温(293 K)に維持した.室温での飽和蒸気圧は2339 Paであり,これは大気圧の2.3%である.水分子を含む空気をノズルから真空中に導入した.このとき真空度はバルブによって約1×10-2 Paとなるように調整した.また,試料チャンバーのベース真空度は1×10-4 Pa程度である.ノズルは直線運動導入器に取り付けられており,これは電子線回折測定中(図2C)には引き抜かれ,水分子蒸着中(図2D)には導入されるような機構となっている.窒化シリコン薄膜基板は試料ステージ上に載せられており,液体窒素で約200 Kに冷却され,その上に水分子が凝縮される(図2E).基板とノズルとの間の距離は100 mmになるように設計している.超高速時間分解電子線回折実験に用いられたパルス電子線の加速電圧は75 kV,繰り返し率は1 kHz,パルス幅は1 psであった.また,励起レーザーの波長は400 nm,パルス幅は100 fs,入射フルーエンスは5~20 mJ/cm 2であった.2.2回折図形の取得と水分子の蒸着条件基板である窒化シリコン膜および水分子を蒸着した窒化シリコン膜の電子線回折図形を図3A~Cに示す.図2実験セットアップ.(Experimental setups.)(A)超高速時間分解電子線回折装置の概略図(B)アモルファス水薄膜を蒸着するシステム(C)水薄膜を蒸着するためのノズルを引き抜き,時間分解電子線回折像を撮影する状態のシステム(D)ノズルを導入し,水薄膜を蒸着する状態のシステム(E)ノズルとサンプルホルダーとの位置関係Reprinted with permission from J. Phys. Chem. A 122,9579(2018).7)Copyright(2018)American ChemicalSociety.編集部注:カラーの図は電子版を参照下さい.図3水分子からの電子線回折図形.(Electron diffractionpatterns from water molecules.)(A)窒化シリコン薄膜からの電子線回折図形(B)水薄膜からの回折図形(蒸着時間20分)(C)水薄膜からの回折図形(蒸着時間60分)(D)金薄膜からの回折図形(E)窒化シリコン膜および水薄膜からの電子線回折図形の動径分布関数(F)水薄膜からの電子線回折図形の高速フーリエ変換スペクトルAdapted with permission from J. Phys. Chem. A 122,9579(2018).7)Copyright(2018)American ChemicalSociety.24日本結晶学会誌第61巻第1号(2019)