ブックタイトル日本結晶学会誌Vol60No4

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概要

日本結晶学会誌Vol60No4

クリスタリットストークスベクトルStokes Vectorストークスベクトルとは,偏光状態を表現するための4行1列のベクトルである.ストークスベクトルの4成分であるストークスパラメータ,S 0~S 3は,測定可能な光の「強度」で表現される.S0は光の強度,S 1は水平/垂直成分の差,S2は45/-45°成分の差,S3は右/左回り円偏光の差を表す.強度の測定には,直線偏光素子と1/4波長板の2つを使用する.測定可能な6つの「強度」により偏光状態を表すという点が,複素数表示をする2行1列のジョーンズベクトルと異なる.偏光状態を表現するのにきわめて便利で,偏光素子の偏光特性を記述する4行4列のミューラー行列と入射光のストークスベクトルの積を計算することで,偏光素子を通過した光の偏光特性を簡単に得ることができる.(東京理科大学研究推進機構総合研究院黒田玲子)ミューラー行列Mueller Matrixミューラー行列は,直線偏光子などの偏光素子の偏光特性を記述する4行4列の行列式で,4行1列のストークスベクトルをつなぐものである.同様の,2行1列のジョーンズベクトルをつなぐ2行2列のジョーンズ行列と類似の役割をするが,ジョーンズベクトルが複素数を使って波を表現するのに対し,ストークスベクトルおよびミューラー行列の各成分はすべて実数である.ストークスベクトルは完全偏光状態ばかりでなく部分偏光状態も含めて記述できる利点がある.偏光素子を通過した透過光Iは,入射光のストークスベクトルI0の左から偏光素子のミューラー行列Mをかけることにより,I=M・I 0で計算することができる.したがって,分光計に入れた試料を透過した光が検出器で検出される強度I dは,光電子増倍管D,サンプルS,光偏光変調器M,偏光子Pのミューラー行列の積として記述することができる:Id=D?・S?・M?・P?・I?0.(東京理科大学研究推進機構総合研究院黒田玲子)時間依存密度汎関数Time-Dependent Density Functional Theory時間依存する原子,分子,凝集系などの多体電子系の電子状態を密度汎関数法で取り扱う量子力学手法である.密度汎関数法は基底状態に対する理論であるが,時間依存する系に発展させることで励起状態の計算が可能になる.吸収や旋光強度などのさまざまな物理パラメーターを計算することできる.Gaussianなどのソフトを用いて計算できる.(広島大学放射光科学研究センター松尾光一)クエットフローCouette Flowクエット流ともいう.2枚の平行な平板の狭い隙間に流体を満たし,一方の板を静止させ,他方を一定速度で平行に移動する際に,その隙間内に生じる流れ場である.同軸円筒の間に流体を満たし,一方の円筒を回転させたときにも生じる.(広島大学放射光科学研究センター松尾光一)β2 -ミクログロブリンβ2 -Microglobulin組織適合抗原(クラスⅠ)を形成する2本鎖のうちの軽鎖であり,βシートリッチな構造と1本のジスルフィド結合をもつ分子量約11,000のタンパク質である.関節炎や麻痺などを引き起こす透析アミロイド症の原因物質,アミロイド線維を形成する.(広島大学放射光科学研究センター松尾光一)日本結晶学会誌第60巻第4号(2018)211