ブックタイトル日本結晶学会誌Vol60No2-3

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概要

日本結晶学会誌Vol60No2-3

虎谷秀穂図2Albiteの粉末回折パターンに対する全パターン分解法によるフィッティングの結果.(Fitting result for the powderdiffraction pattern of albite using the whole-powder-pattern decomposition method.)+は観測プロファイル強度,曲線は計算プロファイル強度,ピークの下に示した棒線はピーク位置マーカー,下部のプロットは観測値と計算値の差を示す.図3 Kaoliniteの観測パターン.(Observed powder diffraction pattern of kaolinite.)3成分系混合試料である.α-quartzは六方格子をもつ三方晶系に属し,比較的ピークの数も少ない.Albiteは三斜晶系に属し,密に重なった多数の回折線をもつ.Kaoliniteは粘土鉱物の一種で,隣同士の回折線が癒着した回折パターンをもつ.これら3種の鉱物の回折パターンは,それぞれtype A,Type Bおよびtype C関数を用いて表すのに適している.図2にalbiteの回折パターンを全パターン分解法でフィッティングした結果を示す.ここで精密化された積分強度パラメータ{I’jk}はtype B関数で使用される.図3はkaoliniteの回折パターンであり,パターン分解法で分解するのも,また結晶構造パラメータに基づいて計算するのも困難な様子を示している.このパターンはバックグラウンド強度を取り除いた後,そのままフィッティングに使用される.3成分が5:4:1の比率で混合された試料に対するフィッティングの結果,およびその結果から得られた各相の重量分率を図4および表5に与える. 10)表5は3回の詰め直し繰り返し測定の結果であるが,平板試料ホルダーに詰めたときに比較的配向を起こしやすい粘土鉱物を含んだ系でも,かなり正確な定量分析ができることを理解いただけると思う.ここで示した方法を用いることにより,積層不整を含118日本結晶学会誌第60巻第2・3号(2018)