ブックタイトル日本結晶学会誌Vol59No4

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概要

日本結晶学会誌Vol59No4

会報致で承認された.3.学会賞平成29年度学会賞選考委員会の答申を受け,佐々木会長より授賞候補者として以下の3件が推薦され,満場一致で承認された.各賞の受賞者,受賞題目は以下のとおりである.西川賞:(応募なし)学術賞:西堀英治会員(筑波大学数理物質系物理学域教授)「放射光X線粉末回折による確度の高い構造因子の計測および未知構造決定」学術賞:原田潤会員(北海道大学大学院理学研究院准教授)「X線結晶解析による分子ダイナミクスの解明と機能性結晶の開発」進歩賞:山下恵太郎会員(理化学研究所放射光科学総合研究センター基礎科学特別研究員)「微小結晶を用いたタンパク質X線結晶構造解析におけるデータ処理方法の開発」なお,学会賞選考委員会は以下の会員で構成された.菅原洋子(北里大学,委員長),神谷信夫(大阪市立大学),千田俊哉(高エネルギー加速器研究機構),八島正知(東京工業大学).4.進歩賞の応募条件進歩賞への応募条件(満35才未満等)が近年の状況に則していない可能性もあり,応募しづらいのではないかとの意見が出たため,現状認識,会告文,推薦依頼等について議論を行った.応募条件の詳細については,今後も議論を継続することとなった.5.次回評議員会日程次回(平成29年度第3回)幹事会・評議員会の日程と会場について,下記の開催案が提案された.日時:平成29年11月22日(水)幹事会13:30~16:00評議員会16:00~18:30場所:広島市文化財団アステールプラザ4F大会議室平成29年度日本結晶学会賞受賞者平成29年度日本結晶学会賞選考委員会(委員:菅原洋子(委員長),神谷信夫,千田俊哉,八島正知)の答申および選考理由が佐々木会長より説明され,評議員会で慎重に審議を行った結果,以下の3件の学会賞受賞が承認されました.学術賞西堀英治会員(筑波大学数理物質系物理学域教授)「放射光X線粉末回折による確度の高い構造因子の計測および未知構造決定」原田潤会員(北海道大学大学院理学研究院准教授)「X線結晶解析による分子ダイナミクスの解明と機能性結晶の開発」進歩賞山下恵太郎会員(理化学研究所放射光科学総合研究センター基礎科学特別研究員)「微小結晶を用いたタンパク質X線結晶構造解析におけるデータ処理方法の開発」受賞理由日本結晶学会学術賞「放射光X線粉末回折による確度の高い構造因子の計測および未知構造決定」西堀英治会員西堀英治会員は,主にSPring-8のX線を利用した確度の高い構造因子計測法および粉末回折法による未知構造の決定を精力的に行ってきた.西堀会員は,原子散乱因子の減衰のためd=0.3 A付近の領域の回折強度はd=3~5Aの領域と比べて0.1%となること,d=0.3 A付近の領域では,波長(エネルギー)分散Δλ/λ(ΔE/E)が回折線幅広がりへ与える影響が大きいことを実験により確認し,これらの問題を解決して正確な高次構造因子を測定する方法を考案した.そして,開発した方法を用いてダイヤモンドとシリコンの構造因子を計測し,ペンデル縞干渉法データとの比較,最大エントロピー法による電子密度解析,複数の第一原理計算との比較により,開発した方法から得られる構造因子の確度を評価し,得られた構造因子の信頼性が高いことを示した.さらにこの手法を用いて各種酸化物やホウ素関連物質,Liイオン電池材料などさまざまな物質の結晶構造および電子密度の解析に取り組んでいる.また,金属六ホウ化物におけるフェルミレベル近傍の電子の可視化にも成功している.西堀会員が測定した構造因子のデータは,海外の電子密度解析の研究者によりプログラムのベンチマーク,多極子展開解析,非調和熱振動解析ならびにX線パラメトリック散乱による非線形回折データの解析などに利用されており,その確度と信頼性が広く認知されている.また,西堀会員は,粉末試料について,SPring-8の高分解能データを用いれば,既存の実験室系X線と市販ソフトの組み合わせでは解析が難しい,複雑な構造をもつ分子の結晶構造も解析できると考え,遺伝的アルゴリズムを用いた粉末未知構造決定に取り組んだ.2008年には,最大エントロピー法と組み合わせることで,130原子,25構造自由度を有する医薬品の結晶構造を決定した.さらにこの方法に,グラフィックカードを用いて汎用計算を行う計算科学技術(GPGPU)を組み合わせ,40196日本結晶学会誌第59巻第4号(2017)