ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No4

ページ
44/62

このページは 日本結晶学会誌Vol58No4 の電子ブックに掲載されている44ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

日本結晶学会誌Vol58No4

クリスタリットクライオトラップ法Cryo-Trapping Methodソーキングによって反応トリガー因子を酵素結晶内部に送り込んで反応を開始させ,任意の反応時間で100 Kのクライオ温度に瞬時に移すことで結晶相反応を停止させ,反応中間体構造を固定する方法.タンパク質の結晶相反応と言えば白色ラウエ法,pHジャンプ法,ケージド化合物を用いた光照射法などさまざまな工夫が試行されてきたが,クライオトラップ法では反応開始前の安定状態の確保,タンパク質結晶内の溶媒領域を自由拡散できる低分子の反応トリガー因子の選択などが実験上の必須条件となる.回折実験は100 Kのクライオ条件下で進めることができるため,回折強度測定において100%の完全性を確保しにくい白色ラウエ法とは異なり,通常の単色X線を用いた高品質のデータ収集が可能となる.(自然科学研究機構分子科学研究所協奏分子システム研究センター古池美彦)196日本結晶学会誌第58巻第4号(2016)