ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No4

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概要

日本結晶学会誌Vol58No4

二次元および三次元ネットワークのトポロジー分析とその表記法図9同一のvertex表記,3.4 3,によって描写される2種類の多面体.(The two types of polyhedra which aredescribed by the same vertex symbol, 3.4 3 .)図11単純立方格子型構造のvertex表記(4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.*.*.*)によるringの数え上げ方.(The patterns of counting the rings for primitive cubicstructure based on the vertex symbol(4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.*.*.*).)図10ダイヤモンド型構造のvertex表記(62.62.62.62.62.62)によるringの数え上げ方.(The patterns of countingthe rings for diamond structure based on the vertexsymbol(6 2.6 2.6 2.6 2.6 2.6 2).)図12ダイヤモンド型構造のpoint表記(66)によるcycleの数え上げ方.(The patterns of counting the cyclesfor diamond structure based on the point symbol(6 6).)う点とn個のつながりをもつある点から出発して戻ってくるn(n?1)/2通りの角それぞれに対して最短経路中(ring)の交点の数がAであるものの数がa通りあるもの.最短経路の通りが1通りである場合(a=1,b=1,…)には下付きの1は省略される.また最短経路がringとならない場合には*で示す(図10).例としてダイヤモンド型構造を示す.ダイヤモンド構造は隣り合う点とのつながりの数が4であるので(n=4),計6通りの角の取り方がある(=(4×3)/2通り).それぞれの角に対して最短経路が通る交点の数が6(A=6)であり2通り存在する(a=2).これはほかの5通りのいずれの角の取り方に対しても同様であるので,6 2.6 2.6 2.6 2.6 2.6 2と表記される(図11).次に単純立方格子型のネットワークを考える.隣り合う点とのつながりの数が6であるので(n=6),計15通りの角の取り方がある(=(6×5)/2通り).そのうちの直角となる角の取り方の12通りは最短経路(ring)が通る交点の数が4(A=4)であり,それぞれに1通りの経路しか存在しないのでa=1となる.しかし,180°となるような角の取り方の最短経路はringではなくcycleであるため,*が適用される.以上をあわせると4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.*.*.*となる.3.2.5 point表記:A a .B b .C c…A a .B b .C c…:三次元ネットワーク内の隣り合う点とn個のつながりをもつある点から出発して戻ってくるn(n?1)/2通りの角のうち,a通りの角の取り方が最短経日本結晶学会誌第58巻第4号(2016)図13単純立方格子型構造のpoint表記(412.63)によるcycleの数え上げ方.(The patterns of counting thecycles for primitive cubic structure based on the pointsymbol(4 12 .6 3).)路(cycle)Aで,b通りの角の取り方が最短経路(cycle)Bで戻ってくるもの.このときa+b+c…=n(n?1)/2となる.交点の種類が2つ以上ある場合には(A a .B b .C c…)p(A a .B b .C c…)q…と表記される.このときp:q:…は交点の格子内の比である.同様に例としてダイヤモンド構造で考える.隣り合う点とのつながりの数が4の(n=4)ダイヤモンド構造において6通りの角の取り方(a=6)が最短経路(cycle)が6となる(A=6).そのため,6 6と表記される(図13).一方で単純立方格子型のネットワークでは12通りの角の取り方(a=12)が最短経路(cycle)が4となり(A=4),3通りの角の取り方(b=3)が最短経路(cycle)が6となり(B=6)ため,4 12 .6 3と表記される.3.2.6 vertex表記とpoint表記の違い以上のように,vertex表記とpoint表記はその定義が似て非なるものであり,その区別が非常に困難である.まず,間違った表記で最も多いのは表記の際の上付き下付きの違いである.また,簡単にその定義の違いを比較163