ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No3

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概要

日本結晶学会誌Vol58No3

日本結晶学会誌 第58巻 第3号(2016) 119植物光化学系I -集光性アンテナ複合体I 超複合体の結晶構造告ともよく一致したことから,PSI-LHCI超複合体のほぼすべての集光性色素を同定することに成功したと考えられた.今回決定した植物のPSI の構造とすでに報告されているシアノバクテリアのPSIの構造中の集光性色素の配置を比較したところ,30 億年の進化の過程においてこれら色素の位置や配向がどのように維持され,最適化され,新たに獲得されたかが明らかになった(図2c ~ e).シアノバクテリアのPSI では96 個のChlaと22 個のBCRが報告されているが,1)これらのうち2個のChlaと2個の図2 植物PSI-LHCIの結晶構造.(Crystal structure of the plant PSI-LHCI supercomplex.)全体構造のステレオ図を(a)チラコイド膜に平行方向から,(b)膜上方向から見たもの.(c)補欠因子のみを表示したもの.反応中心と電子伝達鎖およびRed Chlを赤,植物PSI で新たに見つかったChl とシアノバクテリアPSI と比べて大きく位置が変化したChlをピンク,その他のPSI コア内のChlを緑,カロテノイドを青,Red Chl以外のLHCIのChlとカロテノイドをグレーで表す.数字はEET経路にかかわるChlを表す.(d)シアノバクテリアPSI の補欠因子のみを表示したもの.植物PSI では失われたChl とカロテノイドをシアン,植物PSI とシアノバクテリアPSI で位置が変化したものをブラウン,植物とシアノバクテリアで変化が見られなかったものを黒で表す.(e)パネル(c)とパネル(d)を重ね合わせたもの.(c ~ e)の図の方向はパネル(b)と同じ.Science 348, 989(2015)を改変したものを掲載.編集部注:カラーの図はオンライン版を参照下さい.