ブックタイトル日本結晶学会誌Vol57No3

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概要

日本結晶学会誌Vol57No3

大場茂コマンドによる指定SIMU[0.04][0.08][2.0]atomnamesa)DELU[0.01][0.01]atomnames熱振RIGU[0.004][0.004]atomnames動束縛の内容(2.0 A以内の)対応する原子の熱振動だ円体を似た形に抑制する.結合した2原子について,結合方向の熱振動の大きさが同じ程度になるように抑制する.1…3距離についても,同じように抑制する.連結した部位を剛体とみなし,それらの原子の熱振動だ円体が合理的な向きになるように抑制する(DELUの改良拡張版).ISOR[0.1][0.2]atomnames熱振動だ円体の異方性を制限する(球に近い形に抑制).EADP atomnames指定したそれぞれの原子の温度因子をまったく同じに拘束する(等方性と異方性が混ざっていてはだめ).DFIX 1.54[0.02]C1 C2 b)C1とC2の距離を1.54A(s.u.0.02A)に抑制する.DANG 2.515[0.04]C1 C3 b)C1とC3の距離をプロピル基の1,3距離,つまり2×1.54 sin(109.5/2)=2.515 A(s.u. 0.04 A)結合に抑制する.距SADI[0.02]atom pairs c)化学的に等価な原子間距離を,似た値に抑制する.離FLAT[0.1]four or more atoms4つ以上の原子に対して,それらが平面上になるように抑制する.や幾AFIX 66(この後にatom1からatom6まで非水素原子6個を正六角形に拘束する(defaultで1辺が1.39 A).なお,相似形での伸縮何の行を続け,最後はAFIX 0を入れる)も許す場合は,「AFIX 69」.構造CHIV[0][0.1]atomnamesその原子を頂点とし,それと結合する3つの非水素原子で形成される三角錐の体積(キラル体積)を指定した値に抑制する(単位はA 3でdefault値は0).BUMP[0.02]d)結合表に基づき,結合していない2原子間距離が基準値(ただしs.u. 0.02 A)よりも短くなるのを抑制する.EXYZ atomnames指定したそれぞれの原子の座標をまったく同じに拘束する.SUMP c sigma c1 n1 c2 n2 c3 n3…自由変数(FVAR)の数値の線形和が,ある値を保つように抑制する.(例)FVAR 0.012 0.4 0.3 0.3(例)3つに分裂しているディスオーダーの占有因子を1になるように抑制したいとき,原SUMP 1 0.001 1 2 1 3 1 4左の欄に示すようにSUMPで指定する.これにより,子………1=1×(2番目の変数)+1×(3番目の変数)+1×(4番目の変数)座標PART 1が偏差0.001で成り立つように抑制される.やC1A……21.0……占有………なお,原子座標データはPARTコマンドで区切り,原子の占有因子の10の位に,自由変因PART 2数の番号を入れる.子C1B……31.0……………PART 3C1C……41.0……………PART 0表1束縛のコマンドの代表例.(Typical commands of restrictions.)4)(注)2つに分裂しているときは,SUMPを使わなくても占有因子を足してちょうど1になるように拘束できる(3.3節参照).a)“atomnames”のところには指定したい原子の名前を,“atom pairs”には2原子の名前をセットにして,必要なだけ並べる.カッコ[]で囲っている数字は,計算に用いるパラメータのdefault値(プログラムで設定している標準値)であり,特に指定しなければ,この値が使用される.b)わかりやすくするために,距離や原子対の例を入れて,指定方法を示した.c)SAMEを使ってグループごとに対応させて,結合距離を似た値に制約することも可能である.d)同じ原子に結合している水素原子間は対象外である.また,s.u.にマイナスの符号を付けると,等価位置の原子との距離も考慮する.有率がxと1-xであった場合,対応する原子,例えばC12AとC12B,C13AとC13B,C14AとC14Bは同じような環境にあるため,非等方性温度因子が似た値になるはずだという考えに基づいてSIMUを使って抑制する.これは,例えば2つの占有率が0.7と0.3で位置も接近しているときに,マイナーな部分をメジャーな部分の構造モデルでサポートできるので,非常に有効である.連結している原子を1-2-3のように表すと,DELUは,1-2距離(あるいは1…3距離)の2原子を剛体とみなし,結合軸方向の熱振動の振幅が同じ値になるように抑制する.最近開発されたRIGUコマンドは,DELUの改良拡張版であり,結合方向の振幅が同じだけでなく,原子の相対的な熱振動は結合軸に対して垂直であることも要求する.6)図1に示すように,原子間の結合軸方向をz軸とし,それに垂直な任意の方向をx,そしてxとzに垂直な方向を図1熱振動の剛体の抑制.(Rigid-bondrestraintofatomdisplacement parameters.)(a)DELU,(b)RIGU.結合軸方向がzで,xとyはそれに垂直な直交軸である.6)yとすると,DELUの条件は熱振動のz方向の成分Uzzが等しいこと,つまり2原子についてその差DUzzが0になるように抑制する.そしてRIGUでは,さらにz軸についての対角成分の差DUxzおよびDUyzも0になるように抑制する.プログラムでは,鎖状構造などに対して1-2距148日本結晶学会誌第57巻第3号(2015)