ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No3

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日本結晶学会誌Vol56No3

特集:鉱物学と結晶学日本結晶学会誌56,149(2014)鉱物学と結晶学特集号担当:杉山和正,中塚晃彦Kazumasa SUGIYAMA and Akihiko NAKATSUKA: Mineralogy and Crystallography日本結晶学会誌56巻は,世界結晶年を記念して毎号ミニ特集を企画しています.第1号では,夢の新しい“光”を用いた新時代の結晶学研究への展望を特集し,第2号では,“物性のダイナミズムと結晶構造”というサブタイトルのもと,物性研究の中での原子配列決定の重要性という観点から学術記事をまとめています.今回は,鉱物結晶学に関連するミニ特集をお送りいたします.鉱物学は,物理学や化学のように現象論や研究手法で分類された学問とは異なり,地質学的な過程を経て形成された固体物質である“鉱物”を研究対象とした学問です.そして,鉱物のほとんどが結晶質無機物質であることから,“結晶”をキーワードに集う結晶学会においてもサブグループの1つとして活動させていただいております.学術活動に携わる初期の段階で鉱物の美しい外形の観察や産状を学び,微視的な観察方法の一例として結晶学の基礎を学んだ鉱物学者は,その研究成果の発信の場所として地球の進化や地殻変動などの履歴を読み解く研究分野に傾倒します.一方,産出場所よりむしろその結晶構造を基準に分類整理を行う鉱物学は,その伝統的な物質の整理方法を駆使することによって物性物理学や材料科学の研究分野も守備範囲におさめることができます.実際,物性物理学の分野で頻繁に議論されるぺロブスカイトはロシアの鉱物学者Lev Perovskiにちなんだ鉱物名であり,材料素材にもガーネット,スピネルなどなじみの鉱物名があることは本誌の読者には言うまでもないことと思います.地球科学として機能する鉱物学を嗜好するのであれば,地球環境を再現する温度や圧力をパラメータとした構造研究が大きな役割を担うことになります.そして,回折実験・解析技術の高度化を図りより精密な鉱物結晶の構造情報を獲得することが,地球内部のダイナミックスの詳細な理解につながります.また固体物質科学を嗜好すれば,スピネルなど鉱物学者になじみの深い原子配列を研究対象に,微視的な構造解析手法を駆使して,結晶構造がもつ基礎的・本質的な情報を得ることを主眼とする学術領域を極めることを目指します.本ミニ特集号では,このような鉱物学の取り巻く現状を考えつつ,鉱物学という研究分野に軸足をおく本学会員に最新の研究成果を紹介していただきました.日本の鉱物学の得意技の1つである鉱物の精密構造解析,物質科学の研究分野で活躍する研究者によって展開される放射光源でしか解明できない精緻な鉱物構造の評価技術,地球を理解するために発展した日本のお家芸である高温高圧状態での鉱物の構造的研究と中性子回折への展開,そして魅せることを意識する博物館で働く鉱物マニアの天然鉱物の研究とソフト開発など,鉱物学と結晶学どちらの研究者にも知っていただきたいトピックスをまとめてみました.世界結晶年を迎える本年,本特集号が,鉱物学のさらなる発展を志す研究者そして鉱物学の魅力に憑かれ本研究分野への参入を考えている結晶学者の新たな研究着想点になれば幸いです.日本結晶学会誌第56巻第3号(2014)149