ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No3
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日本結晶学会誌Vol56No3
湿度調整と水溶性ポリマーのコーティングを用いたタンパク質結晶マウント法図5HAG法でマウントした卵白リゾチーム結晶を相対湿度80.4%に維持したときの経時変化.(Timecourse of a lysozyme crystal by using HAG methodsubjected to a constant humidity of 80.4%RH.)マウントした直後を0分とし,格子長(a軸, c軸)とMosaicityの変化を示した.れた.(3)結晶格子の湿度への応答性次に,コーティング剤がある湿度に対して平衡になった条件を開始点として,湿度変更による結晶の格子変化の応答を確認した.コーティングした結晶を87.4%RHで10分間放置した後,相対湿度を0.5%/分の速度で70.0%RHへ乾燥させ,次に90.1%RHまで湿度を上げた後,再度70.3%RHまで乾燥した(図6).その格子長の変化は,前述したコーティング剤を用いない湿度調整法では数%程度であること6)と比べて小さく,線形的であった.なお, c軸については湿度降下に伴い逆に格子が伸長する現象が見られている.これらの現象は浸透圧変化による格子長の応答11)に類似しており,コーティング層の効果によるものと考えられる.日本結晶学会誌第56巻第3号(2014)図6 HAG法でマウントした卵白リゾチーム結晶を長時間湿度調整したときの湿度応答.(Long-term humidityresponse of lattice constant of a lysozyme crystal by usingHAG method treated with consecutive dehydration,rehydration and re-dehydration processes.)相対湿度87.4%でマウントした後, 10分間安定化後からの格子長(a軸, c軸)とMosaicityの変化を示した.以上の結果から,同一結晶内および異なる結晶間における格子長の湿度応答の相関と再現性が確認でき,結晶間の同形性を制御する手法として期待できることがわかった.199