ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No2

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日本結晶学会誌Vol56No2

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概要

日本結晶学会誌Vol56No2

ヒトRecQヘリカーゼWRNとBLMの結晶構造解析図5BLMとダブルホリデイジャンクション.(Dissolution of double Holliday junctions by BLM.)(A)BLMはトポイソメラーゼIIIαと協調的に働いて,修復中間体ダブルホリデイジャンクションを解きほぐす. 6) 2では2つのホリデイ構造は十字型でなく,折れ曲がった状態で描かれている.(B)BLM-ホリデイジャンクションの複合体モデル. 3)矢印はDNA鎖の移動方向.図6RecQファミリーヘリカーゼによる分岐点移動のモデル図. 1),3)(Proposed models for branch migration by RecQfamilyhelicases.)(A)BLMによるホリデイジャンクションのコンフォメーション開化と分岐点移動.(B)WRNによるテロメアT-ループの解きほぐし(仮想モデル). T-ループの点線枠内が右図に相当する.モデルでは, 2つのBLM RQCドメインが左と右のDNAに結合して,それぞれ外側に向けて二重らせんを巻き戻そうとしている.ここで興味深いのは, RQCドメインのβ-wingが,ドメインの端から真下に向かって伸びているため, 2分子のBLMは互いに立体障害を起こすことなく,それぞれのβ-wingを分岐点の小さな穴へ同時挿入することが可能な点である.β-wingによってほどかれた左右の二本鎖は,ATPaseドメイン(図6A右に模式的に示した)の牽引力によって一本鎖ずつ上下に移動して,新しいペアと二本鎖を形成するのであろう.このようにBLMは,おそらくホリデイジャンクションの穴を小さく保ったまま,巻き戻しと再アニーリングを同時進行させることで,効率的な分岐点移動を実現しているのではと考えられる.日本結晶学会誌第56巻第2号(2014)ところで溶液中のホリデイジャンクションは,通常はこのように開いた十字構造ではなく,逆平行に積み重なったコンパクトな状態(図6A左)にあることが知られている. 7)この閉じた構造では,分岐点は立体構造的に固定されているため,移動させることができない.つまりBLMは解きほぐしのさい,何らかの方法でホリデイジャンクションを開いた状態に保っているはずである.ここでRQCドメインに続くHRDCドメインの推定位置を考えると(図5B),ちょうどホリデイジャンクションの十字の隙間,かつATPaseドメインの下(図6A右)に位置することが予想される. BLM HRDCドメインが負電荷に富むことも考えると,このHRDCドメインが,ホリデイジャンクションを開くためのくさびとして使われているのではないかと推察される. 3)実際, HRDCドメインを137