ブックタイトル日本結晶学会誌Vol59No5

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概要

日本結晶学会誌Vol59No5

IUCr 2017参加報告ハイデラバードでのカレー(華麗?)なる日々.光のツアーに参加した.その日は晴天だったおかげで,汗だくになって丘の上にあるゴールコンダ王国の城跡に登り,歴史的遺跡と都市開発が渾然一体となったハイデラバードの市内を一望することができた.今回,IUCr2017の参加に先立ち,幾人からインドでの食生活について忠告を受けていたため,できるだけ日本から持ち込んだミネラル水を飲み,カットフルーツや生野菜を避けた生活を送っていた.おかげで会期中は体調も良好だったが,スパイスのよく利いたカレーを食べ続けるのは,いかにカレー好きの筆者にもさすがに応えたようで,胃腸に疲れが溜まり帰国後に風邪をこじらせてしまった.ただ,帰国後,ふと現地で食べた食事を思い出して,インドカレー店を訪れる機会が増えたような気がする.図116世紀の王,ムハンマド=クリーが建造したチャールミナール(4つの尖塔)から眺めたハイデラバード旧市街の様子.IUCr2017 Hyderabad参加記高輝度光科学研究センター河口彰吾2017年8月21~28日の8日間,インドのハイデラバードで開催されたIUCr2017に参加しました.ハイデラバードはインド中南部,デカン高原に位置し,約700万人が暮らす大都市です.また,IT産業により経済発展した都市としても有名で,グーグルやマイクロソフトなどの多くの有名な大企業が支社のオフィスを構えています.渡航した8月下旬は雨季にあたるため蒸し暑さを覚悟して臨んだのですが,気温は日本とさほど変わらず(大阪のほうが暑い?),一日のうちに数回猛烈な雨が降るとはいえ,一日中しとしとと雨が降り続く日本の梅雨よりは不快指数が低く過ごしやすく思いました.ハイデラバードの街は南北で旧市街と新市街エリアに分かれており,会議が行われた国際コンベンションセンターは新市街地エリアにありました.ホテルから会場へはシャトルバスを利用したのですが,道中では簡素な屋台や露店などと,マクドナルドやドミノピザなど見慣れたファストフード店,モダン(?)なショッピングセンターなどが入り混じり,ハイデラバード市民の昔ながらの素朴な暮らしと経済発展による欧米化という一見相反する文化が仲日本結晶学会誌第59巻第5号(2017)図2大ホールで行われたOpening Ceremonyの様子.良く折衷している様子が垣間見えました.○○バードという地名はイスラム教の街を表しているらしく,実際にハイデラバードの旧市街の街中には17世紀に建立されたという歴史あるイスラム風の宮殿や多くのモスクが点在しているほか,街中では真っ黒なチャドルを身にまとったムスリムたちが行き交っていました(図1).学会会場は,ポスター・展示会場,口頭発表のための大ホールが4つ,中小ホールが6つ程度あり,朝と夜にKeynoteレクチャー,午前と午後に合計117テーマのマイクロシンポジウムが行われました(図2).今回の会議では,IUCr2017の電子端末用アプリが提供され,ポスター発表をオンラインで見られるe-posterや,プログラム・アブストラクトをスマートフォンやPCから検索が可能であり,当日のイベント情報などもすぐに確認することができるため,とても便利でした(欲を言えば,会場のWi-fi環境がもう少し良ければさらに嬉しかったのですが……).ポスター発表は,poster and lunchという名目のセッションで行われ,連日お昼どきに設定されており,253