ブックタイトル日本結晶学会誌Vol59No5

ページ
22/84

このページは 日本結晶学会誌Vol59No5 の電子ブックに掲載されている22ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

日本結晶学会誌Vol59No5

ネスポロマッシモ(ア)(イ)(ウ)(エ)図3(ア)P4mm空間群の[001]方向に沿った対称要素投影.(イ)P2mm.のt-部分群とその慣用記号Pmm2.(ウ)P2.mmのt-部分群(左)とその慣用記号Cmm2(右).(エ)P2.mmからCmm2への基底変換の分析.(左)P2.mmの4つの単位胞.対称方向は基底のベクトルと一致しない.(右).基底の変換に従って対称方向は基底のベクトルと一致するが単位胞(赤い四角)は複合(赤いベクトル)となった.編集部注:カラーの図は電子版を参照下さい.3.空間群の部分群空間群は無限個の並進操作を含むために点群と異なり部分群はいくつかの種類に分けられる.上記と同様に,Gは群,Hはその部分群とする.1並進操作を保ち,一部の点群操作が低下する場合HはGのt-部分群という.tはドイツ語のtranslationengleiche(同じ並進)の頭文字である.2点群操作を保ち,一部の並進操作が低下する場合HはGのk-部分群という.kはドイツ語のklassengleiche(同じクラス,結晶類:文献2)参照)の頭文字である.特別なケースとして,i-部分群がある.iはisomorphic(同型)の頭文字である.3一般の部分群.この場合はG→Hを2つに分けることができる.まず,GからMというt-部分群を経て,次にMのk-部分群としてHを導くことができる.なお,Mは一意である.この結果はヘルマン定理によるものであり(文献4)),Mはヘルマン群という.われわれは群タイプではなく,群の関係を調べている.その関係を表示するためにはGとHのヘルマン・モーガン記号は不充分であり,基底の変換も必要不可欠である.本稿では,一例としてP4mmの指数2の部分群を調べてみよう.t-部分群の場合には点群の群・部分関係から連想できる.点群→空間群4mm→P4mm4→P42.mm→P2.mm2mm.→P2mm.ここで,P2.mmとP2mm.は慣用記号ではなく,元の正方基底を用いて表示したものである.これらの群に関しては,直方(斜方)の群なので直方(斜方)の基底で表示するとどう変化するか調べる必要がある.図3アは,[001]に沿ってP4mmの対称要素(単位胞内)を投影したものである.a 1とa2は(001)面内の正方格子の基底ベクトルである.実線は鏡映面m,点線は映進面g(?±?0)x±xzを示している.演習問題6図3アにおいて,何故この映進面はnではないか説明せよ.図3イは,P2mm.の投影図である.基底はP4mmと一致するが晶系が下がったため(001)面内の軸はaそしてbを使う.直方(斜方)格子では〈110〉方向は対称方向ではないので直方(斜方)軸で空間群記号を表現すると最後のドット(.)が不要になり,慣用記号はPmm2となる.演習問題の解答はJ-Stageに付録として掲載してあります.214日本結晶学会誌第59巻第5号(2017)