ブックタイトル日本結晶学会誌Vol59No5

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概要

日本結晶学会誌Vol59No5

点群,空間群の部分群GHG -1=H→GH=HG→∪ig iH=∪iHg i(7)(ア)式(7)と式(1)~(2)を比較すると正に正規部分群の定義となる.なお,式(6)で2つ以上の部分群H kを得る場合はHの同型群である別のGの部分群が存在し,それらはHと共役関係をもつ.IIII演習問題5 4mmの群・部分群ツリーを描いて,正規部分群か共役部分群か判別せよ.I:第1種対称操作II:第2種対称操作図2はモノ(object)とモノの対称性への等長写像の影響を示している.図2アでは8匹の猫群れが4mmという対称性に従って図示されている(高さを変える操作が4mmに含まれていないのですべての猫は同じ高さにいる).同色(白か黒)の猫は第1種,異色の猫は第2種対称操作で関連付けられている.図2イに4mmから4への対称性の低下により8匹の猫群れは2つの4匹猫群れに分けられた.4という点群は第1種対称操作しか含まないため各群れに同色の猫しか残らない.黒猫の群れと白猫の群れは第2種写像で関連付けられ,これらの写像は4mmにおける4という点群の剰余類に属するものである.これらの操作は4mmでは対称操作なのに対して4ではそうでなくなるのでこの相違を強調するために「写像」という呼称を利用する.なお,モノ(猫群れ)とモノの対称性の違いを考えよう.{1,4 1,4 2=2,4 3}黒猫=黒猫;{1,4 1,4 2=2,4 3}白猫=白猫m{1,4 1,4 2=2,4 3}m -1={1,4 1,4 2=2,4 3}(イ)(ウ)剰余類22 0,0,m x,0剰余類34 + 0,0 ,m x,x4 - 0,0 ,m x,x剰余類4剰余類3ここでmは4mmに属するどの鏡映面でも成立という意味で使っている.黒猫の群れと白猫の群れを関連付ける写像を利用し,その群れの点群を共役すると点群は変わらない.これはすなわち正規部分群の定義である.実は4mmにおける4の左剰余類と右剰余類は同じであることを思い出せば(表2・3)上記の結果が得られる.図2ウに示すように4mmから.m[100].への対称性の低下により8匹の猫群れは4つの2匹の猫群れに分けられる.mという点群は第1種対称操作および第2種称操作を両方含むため各群れには異色の猫が存在する..m[100].に属しない写像は剰余類に属するものである.4つのモノ(猫群れ)はそれぞれ異なり,モノの対称性は2種類ある:.m[100].と.m[010].これらの点群はそれぞれ2回(2つの猫群れ)現れる.これらの点群は4mmにおける共役部分群である.剰余類の操作は部分群を共役する写像なのでHiとH kは同型群であり「別の場所で同じことをする」.同型群をもつモノ(object)MiとMkは厳密な関係をもっている剰余類2図2(ア)4mmの操作で関連付けられている猫の群れ.同色の猫は第1種,異色の猫は第2種対称操作で関連付けられている.(イ)対称性が4に低下すると8匹の猫群れは2つの4匹の同左右性の猫群れに分けられる.両方の群れは同じ対称性をもつ.4は4mmの正規部分群である.(ウ)対称性が.m.に低下すると8匹の猫群れは4つの2匹の異左右性の猫群れに分けられる.上の群れはm[100]という対称性を示すのに対して下の群れはm[010]という対称性をもつ.これらの群は4mmの共役部分群である.はずである.MiとMkの関係については,下記の空間群の部分群を紹介してから議論する.演習問題の解答はJ-Stageに付録として掲載してあります.日本結晶学会誌第59巻第5号(2017)213