ブックタイトル日本結晶学会誌Vol59No2-3

ページ
14/100

このページは 日本結晶学会誌Vol59No2-3 の電子ブックに掲載されている14ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

日本結晶学会誌Vol59No2-3

ネスポロマッシモ当するものので空間群タイプ記号に点群記号が現れるが言うまでもなく同じ軸(幾何的要素)を回転操作と螺旋操作が共有し,また同じ面(幾何的要素)を鏡映操作と映進面が共有する.例えば,P4mmという共型空間群タイプを分析しよう.00z軸と??z軸(幾何的要素)に4,44,48,4 12….などの無限の操作があるが最短並進部分はゼロなので定義操作は4である.0?zと?0z軸の場合は2,22,24,2 6….などの無限の操作があるが最短並進部分はゼロなので定義操作は2である.より高い位数の操作が空間群の記号に現れるので[001]方向の記号に4回回転軸が選択される.また,{100}面に鏡映操作があるが,p,q,r媒介変数の値によって無限のg映進操作が同じ幾何的要素を共有する.定義操作としてmが選ばれるので対称要素はmと定義されるが決して映進操作がない訳ではない.{110}に関しては同じ結果になる.しかし,この場合はm(x,x,z)とm(x,x _,z)のほかに純粋なg映進面(x±?,x,z)も存在するがヘルマン・モーガン記号に前者が優先されるので空間群タイプの記号はP4mmとなる.・「共型群ですべての対称操作が原点を通る」.空間群タイプは周期のある結晶構造の群なので無限の対称操作と対称要素があるがすべて原点を通ることはあり得ないし,もしそうなら空間群ではなく点群になる!この誤解の原因はおそらく無限の対称操作の中でp=q=r=0という操作しか考えていないことにあると思われる.2.7.1非共型空間群の区分非共型空間群タイプはフェドロフ8)によってさらに2種類に区分されている.同じ点群と同じ格子型に相当する空間群タイプ(すなわち,同じ代数的結晶類;下記を参照)は1つ以上存在し,その中の1つは共型であり,それ以外は非共型である.ここで最高の位数の席対称群Sを考慮しよう.非共型空間群タイプの席対称群をS非と指定し,その位数をn非と書く.同様に共型空間群タイプの場合はS共とn共と書く.n非はn共の除数であるが,特にn非=n共/2の場合に注目しよう.・S共は第2種対称操作を含むがS非は第2種対称操作を含まない場合はその非共型空間群タイプを半共型空間群タイプ(hemisymmorphic space-group types)と呼ぶ.・その他の非共型空間群タイプを異共型空間群タイプ(asymmorphic space-group types)と呼ぶ.例.Pmmmは共型空間群タイプである.S共はmmmで,第2種対称操作を含む.その位数はn共=8.同じ点群に相当し,単純(基本)慣用単位胞をもっている空間群タイプはほかに15個あり,すべて非共型である.そのうちn非=4で,S非=222(第2種対称操作を含まない)という条件を満たすのは3個ある:Pnnn,PccmおよびPban.これらはフェドロフの定義に従って半共型空間群タイプと呼ぶ.残りの12個は異共型空間群タイプである.フェドロフの分類では,空間群タイプは3種類(共型,半共型,異共型)に分けることができる.その相違点は結晶模様(crystal pattern)として観察できるので大切であ図3共型,半共型,異共型空間群タイプの結晶模様の例.(ア)mmm点群ステレオ投影.左:対称要素.右:一般形態.(イ)Pmmm共型空間群タイプの一般位置.原点の周りのアキラル多面体は形態のステレオ投影に酷似している.(ウ)Pnnn半共型空間群タイプの一般位置.(イ)の多面体は2つのキラル多面体に分けられた.(エ)Pmna異型空間群タイプの一般位置.(イ)の多面体は2つのアキラル多面体に分けられた.(オ)Pcca異型空間群タイプの一9般位置.(イ)の多面体は4つの多面体に分けられた(文献7)よりreproduced with permission.).(VESTAで作成)56日本結晶学会誌第59巻第2・3号(2017)