ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No6

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概要

日本結晶学会誌Vol58No6

ヘルマン・モーガン記号の解読???a(ア)a???図9空間群タイプ14番の設定.(ア)対称方向はb軸.(イ)対称方向はc軸.(ウ)対称方向はa軸.赤,青,緑の単位胞はそれぞれcell choice 1, 2, 3である(ITA定義に従う).編集部注:カラーの図はオンライン版を参照下さい.(イ)号はP12 1/a1,P112 1/b,P2 1/c11となる.表2はこの結果をまとめたものである.表2対称方向と単位胞の選択による空間群タイプ第14番のヘルマン・モーガン記号.cell choice 1(赤)cell choice 2(青)cell choice 3(緑)b-uniqueP12 1/c1P12 1/n1P12 1/a1c-uniqueP112 1/aP112 1/nP112 1/ba-uniqueP2 1/b11P2 1/n11P2 1/c11?(ウ)次に,面内の軸を交換する(右手系を保護するために投影方向を逆にする)ことも可能である.その結果は表3にまとめた.表3面内の軸を交換による空間群タイプ第14番のヘルマン・モーガン記号.cell choice 1(赤)cell choice 2(青)cell choice 3(緑)b-uniqueP12 1/a1P12 1/n1P12 1/c1c-uniqueP112 1/bP112 1/nP112 1/aa-uniqueP2 1/c11P2 1/n11P2 1/b11図10に上記の空間群のcell choice 1慣用単位胞を4つの並べたx,y,z一般座標を示す.(ア),(イ),(ウ)に非慣用単位胞を導入し,それぞれ(a+c,b,-a+c),(2a-c,b,c),(a+2c,b,-a)という軸変換で定義する.cell choice 2慣用単位胞からの変換は(a,b,a+2c),(a+3c,b,-a-2c),(2a+c,b,c)であり,cell choice 3慣用単位胞からの変換は(-c,b,2a+c),(-3a-2c,b,a),(a-c,b,a+c)となる.どれでもa'/2+c'/2並進ベクトル現れるのでB非慣用単位胞となる.(ア)と(ウ)の場合は元の面内のw intrが1/4の周期となるのでこれらの非慣用単位胞ではd映進面となる.(イ)の場合は元のc/2というw intrはc'/2というw intrとなり,さらにa-c/2ベクトルはa'/2というw intrとなるためこの単位胞では映進面はeとなる.結局,これらの単位胞を利用するとヘルマン・モーガン記号はB2 1/dとB2 1/e日本結晶学会誌第58巻第6号(2016)図10空間群タイプ14番の非慣単位胞(倍の体積,対称方向はb軸).(ア)軸変換(a+c,b,-a+c)によって,B12 1/d1設定に.(イ)軸変換(2a-c,b,c)によって,B12 1/e1設定に.(ウ)軸変換(a+2c,b,-a)によって,B12 1/d1設定に.となる.なお,対称方向はb軸ではなく,c軸かa軸として選ばれると単位胞はBではなく,CかAとなる.結果は表4にまとめた.表42倍体積の単位胞の選択による空間群タイプ第14番のヘルマン・モーガン記号.cell choice 1(赤)cell choice 2(青)cell choice 3(緑)b-uniqueB12 1/d1B12 1/eB12 1/d1c-uniqueC112 1/dC112 1/eC112 1/da-uniqueA2 1/d11A2 1/e11A21/d11Cafetite,Ca[Ti 2O 5](H 2O)は,P2 1/n,a=4.9436 A,b=12.109 A,c=15.911 A,β=98.937°という空間群(P2 1/cのcell choice 2)で表現できる.14)格子定数から判断すれ259