ブックタイトル日本結晶学会誌Vol58No2

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概要

日本結晶学会誌Vol58No2

日本結晶学会誌 第58巻 第2号(2016) 61日本結晶学会誌 58,61(2016)ごあいさつ結晶学会の新たな展開を迎えて日本結晶学会会長 佐々木 聡平成28,29 年度(2016,2017 年度)の2 年間,日本結晶学会の会長を務めさせていただくことになりました.大変光栄なことと存じますが,責任の重大さを痛感しております.皆様のお力添えをいただいて,本会の目的である「結晶学およびこれに密接に関連する学問の進歩を図る」ため,全力を尽くす所存であります.何卒,よろしくお願い致します.日本結晶学会では,法的に安定した状態で学会活動や財産管理が行えるよう,三木前会長を中心とした前執行部で学会の法人化が検討されてきました.そして,平成28 年2 月1日に一般社団法人日本結晶学会が設立されました.同時に,任意団体としての日本結晶学会は平成28 年3月末日で解散し,翌4 月1日には全会員が新しい一般社団法人に移行しました.この法人化移行の特徴は,従来の結晶学会と大きく変わらない学会活動を維持するための制度設計です.従前同様のご支援をよろしくお願い致します.日本結晶学会は1950 年に設立されましたが,その翌年にはいち早く,国際結晶学連合(IUCr)への加入が承認されています.この迅速な対応の国際背景として,日本からの国際貢献が20 世紀初頭から存在したことが大きいと考えられます.Laue らによりX線回折現象が発見された翌年の1913年には,寺田寅彦によるX線回折の研究や西川正治(初代会長)によるX線結晶学の研究が日本から発表されたことは,周知のとおりです.また近年になってからは,IUCr1972(京都)とIUCr2008(大阪)で大規模なIUCr国際会議が日本に招致されています.さらに2014 年には,国連総会で世界結晶年(IYCr2014)が制定されるなど,結晶学自身への世界からの評価もいただいております.このように古くて新しい結晶学ですが,現在では広範な科学分野で,物質や生命体の構造や電子的性質を理解する強力な手段として普及しています.当初は,結晶学と密接に関係する学問分野は物理学,鉱物学,化学,生物学などでしたが,今では科学の汎用的な研究手法の1つとして,その関連分野も大きく拡大・進化を遂げたものと思います.純粋な基礎学問としての結晶学がますます発展し,多方面との連携において信頼される科学技術の架け橋で在り続けることができるよう,会員の力がさらに強く結集されることを望んでおります.今後とも皆様のご協力を賜りますよう,宜しくお願い申し上げます.