ブックタイトル日本結晶学会誌Vol57No6

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概要

日本結晶学会誌Vol57No6

353クリスタリット日本結晶学会誌 第57 巻 第6 号(2015)原子間散乱法Interatomic ScattersIAS(interatomic scatters)法は,原子分解能(約0.9 A以上)の回折データの構造精密化において,特に原子間の結合電子による電子密度のピークが得られる場合,その結合電子密度に対してガウシアン型の擬似散乱モデルを組み込むことにより,電子密度図の改良を行う方法である.小分子の構造精密化で使われるmultipolar modelling法は,精密化パラメータが増加し,それに伴って必要とするデータ数も増加する(約0.6 A分解能以上が必要).しかしながら,タンパク質結晶で0.6 A分解能以上の回折データを得ることはきわめて難しい.IAS法では0.8 ~ 0.9 A程度の高分解能データを用いて,multipolarmodelling法に匹敵する構造モデルを得ることができる.この手法は構造精密化プログラムPHENIXで利用できる.1)1) Afonine, et al.: Acta Crystallogr. Sect. D 63, 1194(2007).(マックスプランク化学エネルギー変換研究所 緒方英明)