ブックタイトル日本結晶学会誌Vol57No1

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概要

日本結晶学会誌Vol57No1

特集マルチプローブ研究が拓く構造研究の新時代日本結晶学会誌57,1(2015)マルチプローブ研究が拓く構造研究の新時代―物質構造への多面的アプローチ―特集号担当:五十嵐教之,木村正雄,佐賀山基,瀬戸秀紀Noriyuki IGARASHI, Masao KIMURA, Hajime SAGAYAMA and Hideki SETO: NewEra of Materials Structure Science by Multi-probe Experiments ?Multilateral Approachinto the Material Structures?最近の構造研究の進展は目覚ましく,一昔前までは解析不可能であったような複雑な物質の高精度な構造情報が次々と得られ,多くのイノベーション創出に繋がっています.これには最先端の実験施設の広範な利用と,それに伴う高度な研究手法の開発が大きく寄与しています.しかし,1つの研究手法から得られる情報は,物質のある部分を切り出した情報です.物質の「真の姿」を見るためには,より多面的,多次元的に観察することが必要不可欠であることは言うまでもなく,近年ではそのニーズも非常に高まってきています.このようなニーズに応えるために,プラットフォーム化などのマルチプローブ研究の基盤作りが始まっています.そしてナノテクプラットフォームや,創薬などプラットフォームや光ビームプラットフォームなどが大規模に走りだしています.また,高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所では,この春より複数の量子ビームを用いた研究課題を受け付けるマルチプローブ実験課題の公募を開始するなど,マルチプローブ研究の仕組み作りを行っています.以前は1つ使うのも大変だった最先端の実験施設ですが,これらの取り組みにより縦横に活用できるようになり,多面的,多次元的な構造情報が,より身近に,より簡便に,より高精度に得られるようになってきたと言えます.本特集では,より身近になったマルチプローブ研究の現状や進展について概観し,各研究分野でどのように活用されているかという実例を示すことで,今後の構造研究の1つの方向性を示すことができるのではと考えました.そのため,それぞれの執筆者の方には,ご自身のマルチプローブ研究の活用例のご紹介に加えて,できる限りマルチプローブ研究や,使った施設や手法について,今後の発展や活用法などについても簡単に触れていただくようお願いしました.この企画を通じ,すでにマルチプローブ研究を実施している研究者の方々にはより広範に利用できるよう,またこれまでマルチプローブ研究を手がけたことのない研究者の皆様にはご自身の研究に活用するきっかけになっていただければと思います.最後にこの誌面をお借りしまして,お忙しい中原稿をお寄せいただきました執筆者の方々に,担当者一同厚く御礼申し上げます.日本結晶学会誌第57巻第1号(2015)1