ブックタイトル日本結晶学会誌Vol57No1

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概要

日本結晶学会誌Vol57No1

クリスタリットじた片鎖メチル化DNAをUHRF1のSRAドメインが認識する.その後UHRF1がDnmt1を片鎖メチル化DNAにリクルートすることで,Dnmt1が親鎖DNAのメチル化情報を元に新生鎖DNAのメチル化を行う.(横浜市立大学大学院生命医科学研究科有田恭平)距離分布関数P(r)Distance Distribution Function P(r)タンパク質溶液にX線を照射して得られた散乱角4sinθ/λに依存した散乱強度データをフーリエ変換して得られる分子内の原子間距離分布関数.P(r)関数は散乱体の幾何学的な形状に依存しているので,分子の形状やコンフォメーションの変化を知ることができる.(横浜市立大学大学院生命医科学研究科有田恭平)CMOS(相補型金属酸化膜半導体)CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)CMOSは,その名のとおり金属と酸化膜,そして半導体からなるトランジスタである.P型とN型双方を1つの半導体上に保有する.このような構成や構造のことをCMOSと呼ぶ.コンピュータに使うシステムLSIとして使われており,この製造技術がそのままイメージセンサーとしてのCMOSにも使えるところが,性能や仕様だけでなく実際上の利点でもある.CMOSイメージセンサーの場合は,センサー部としてのダイオードやアンプが作り込まれている.入射粒子で発生した電荷を画素内で電圧に変換する.この点が電荷を画素外にいったん運んで出力回路で電圧に変換処理するCCDと異なる.もともと電荷を帯びた粒子の検出のために開発されたActive Pixel1Sensorという技術)を電子直接検出器の開発においても使用している.2),3)1)R. Turchetta, et al.: Nucl. Instr. and Meth. A 458, 677(2001).2)A. C. Milazzo, et al.: Ultramicroscopy 104, 152(2005).3)A. R. Faruqi, et al.: Nucl. Instr. and Meth. A 546, 170(2005).(大阪大学蛋白質研究所岩崎憲治)単粒子解析法Single-Particle Analysis日本語で単粒子解析というが,一分子解析ではない.多数の粒子を使うのでむしろ多粒子解析である.一分子をいろんな角度で撮影し,その像を使って再構成すれば三次元構造が得られる.ところが,これでは一分子に何度も電子線を照射することになってしまい,撮影の度に電子線損傷が蓄積していく.ここで,精製した生体分子を撮影した場合を考える.電顕イメージ(写真)の中にはいろんな配向をした分子がたくさん写っているだろう.それらが同一構造ならば,一度にいろんな角度から撮影したのと同じことになる.撮影領域を変えて次々に撮影していけば,電子線損傷を最小にして-つまり対象分子の高分解能情報を維持して-さまざまな向きの画像データが大量に得られるのである.このことを利用し,さらに画像解析に統計学的手法を駆使して二次元あるいは三次元の構造を求めるのが単粒子解析法である.1)1)J. Frank:"Three-Dimensional Electron Microscopy ofMacromolecular Assemblies : Visualization of BiologicalMolecules in their Native State."New York, Oxford UniversityPress(2006).(大阪大学蛋白質研究所岩崎憲治)カドヘリンCadherin細胞-細胞間の接着を担う膜タンパク質.竹市雅俊博士によって発見された.非常に大きなファミリーを形成する.N末端側に大きな細胞外領域をもち,カドヘリンリピートと呼ばれる保存された繰り返しモチーフから構成される.この部分がCa 2+依存性の接着機構を担っている.C末端側は比較的小さな細胞内領域を構成する.カドヘリンファミリーは,さらに,classical cadherin,desmosomal cadherin,protocadherin,Flamingo/Celsr,DachsousとFat cadherinなどのサブファミリーに分かれる.細胞生物学の教科書はもちろんのこと,竹市雅俊博士のレビューが多く出ているので参考にされたい.(大阪大学蛋白質研究所岩崎憲治)74日本結晶学会誌第57巻第1号(2015)