ブックタイトル日本結晶学会誌Vol57No1

ページ
57/94

このページは 日本結晶学会誌Vol57No1 の電子ブックに掲載されている57ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

日本結晶学会誌Vol57No1

創薬等支援技術基盤プラットフォームで取り組む相関構造解析各解析手法の複合的な利用が可能SPring-8Photon Factory・X線結晶構造解析BL26, BL32XUBL41XU, BL44XU (阪大)・X線溶液散乱解析(SAXS)BL45XU・X線結晶構造解析BL-1A, BL-5A, BL-17ANE-3A, NW-12 (PF-AR)・X線溶液散乱解析(SAXS)・電子顕微鏡・NMRBL-6A, BL-10C,BL-15A2図2創薬等支援技術基盤プラットフォームの相関構造解析プログラムにおいて利用可能な手法とSPring-8とPhotonFactoryにおけるビームライン.(Available methodologies and beam lines at the SPring-8 and the Photon Factory in“correlated structural analysis”program at the PDIS project.)BL-5A(担当:松垣直宏),PF-Advanced Ring(PF-AR)のNE-3A(担当:山田悠介),8)NW-12(担当:富田文菜)9)において支援と高度化が行われている.BL-17Aでは平成27年1月から大幅な更新が行われ,平成27年度には最新の検出器を備え,通常のX線回折実験に加え,結晶化プレートのドロップ中の結晶に対して回折データ測定ができるビームラインとして本事業にも供される予定である.またPFのX線結晶解析用ビームラインにおいては,測定したデータの保管・管理や回折データの半自動解析および構造決定までを順次導いていく実験データ管理システム(PReMo)の開発が進行中で,一部の機能はすでにユーザーに提供されている.10)また,SPring-8では世界最高峰の超高輝度マイクロフォーカスビームによる微小結晶を用いた回折データ測定が可能であるBL32XU(担当:平田邦生,河野能顕,山下恵太郎),11)昨年度末に光学系・測定系の大幅な更新が行われ,世界最高レベルの高強度ビームを用いた測定が可能になったBL41XU(担当:長谷川和也,奥村英夫),12)自動サンプルチェンジャーによる無人連続測定も可能となっている汎用性の高いBL26(担当:上野剛)13)が利用可能である.さらにSPring-8ではこれらの超高輝度のマイクロフォーカスビームラインの特長を活かし,推定される放射線損傷レベルに基づいた測定条件を推奨したり,回折データ測定を行うに相応しい回折能をもつ微小結晶の位置を効率的に決定するソフトウェア(担当:平田邦生,山下恵太郎)の開発も行われ,効率的かつ効果的な回折データ測定に大きく貢献している.また,PF,SPring-8の両施設ともに各ビームラインには高日本結晶学会誌第57巻第1号(2015)速読み出しが可能な大面積ピクセルアレイ型検出器などの導入が進んできており,迅速な回折データセットの収集が可能である.さらに,SPring-8に設置された阪大ビームラインであるBL44XU(担当:山下栄樹,東浦彰文)14),15)では超分子複合体を対象とした巨大な格子定数をもつ結晶からの回折データを取得するための高度化が進められている.ここまでタンパク質結晶構造解析ビームラインについて概説してきたが,PDISにおいてはSAXSビームラインを用いた支援と高度化も進行中である.SAXSを用いれば,タンパク質や生体高分子などの溶液中におけるコンフォメーションやコンフォメーション変化,分子の会合や解離について情報を得ることができる.PFにおいては,挿入光源ビームラインBL-15A2を新たに建設するとともに,既存のSAXSビームラインであるBL-6A,10Cに関しても,光学系から大面積ピクセル検出器を含む測定系まで最新の装置に更新され整備が進んでいる(担当:清水伸隆,西條慎也).16)さらに,PDIS事業においてはオートサンプルチェンジャーの開発によるハイスループット化やHPLCや多角度静的光散乱装置(MALS)と組み合わせたSEC-MALS-SAXSシステムの開発も進行中である.また,SPring-8の高輝度X線を活かした高速測定や高速時分割測定が可能なBL45XU(担当:引間孝明)では,PDIS事業においてPFと同様に大面積ピクセル検出器が導入され,サンプルチェンジャーやデータ高精度化などの高度化も進められている.両施設のSAXSビームラインには,ユーザーフレンドリーな測定システムが整備されているが,検出器が同一になったことから49