ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

IUCr2014参加報告と計算機の助けなくしては不可能である.こういった技術は今後,材料開発の現場で重宝される技術になると思われる.また,恩師の一人,井田隆先生の御講演では,リートベルト法の誤りを正すことで粉末法の精度を単結晶法の精度にまで高めることができるという報告があった.旧来からのXRD法は技術開発の時代が去って久しい.しかしながら,回折理論などにしっかりと基礎を置いた地道な技術研究は今後も細々と続けられなくてはならないと考えている.今回のIUCrでもそういった研究をいくつか目にすることができたのは嬉しい限りである.モントリオールでの生活リズムは時差ボケと初日の長旅の疲れなどでおおいに狂っており,朝は現地時間の深夜に目覚め,夕刻には睡魔に見舞われる日が続いた.リズムがやっと整ったのは11日になってのことで, 12日は講演の合間を縫ってモントリオール美術館まで足を運んでみた.その道すがら冒頭に紹介したサン・ピエトロ大聖堂のレプリカ寺院にも立ち寄った.バルダッキーノもベルニーニの作品を模していたのは興味深かった.美術館は中世-ルネッサンス頃から現代アートに至るまでを展示しており,ウィリアム・ブーグロー作品なども見ることができた.限定的ではあるがモントリオールの街を堪能して13日早朝に帰国の途に就いた.帰国後2, 3日はやはり深夜に目覚め,夕刻に就寝する生活を送ることになった.IUCr2014 Montreal参加記熊本大学大学院自然科学研究科・M2鳥羽瀬翼私は2014年の8月5~12日の間,カナダのモントリオールで行われたIUCr2014に参加してきましたので報告させていただきます.私は初めてのIUCr会議参加ということでさまざまな研究者の話を聞いて,今後の研究に活かせるように吸収していこうと意気込んでカナダに行きました.またモントリオールはオリンピック開催地であり,以前から行ってみたかった都市だったので観光の面でも学会参加を楽しみにしていました.日本からは,モントリオールまでは直通の便はありません.そこで費用節約のために比較的格安であったニューアーク-モントリオール行きの便を予約しました. JFK国際空港からニューアークまでは電車で1時間30分くらいの距離です.乗り継ぎには4時間余裕があったのでトラブルに巻き込まれなければ大丈夫だろう,と指導教官である吉朝先生と話しながら飛行機を予約したのを覚えています.しかしその油断が命とりでした.危惧していたトラブルに巻き込まれてしまいました. New York Penn駅からNewark空港駅に行く途中のNewark空港の2つ手前の駅近辺で事件は起こりました.途中で電車が停車しました.電車の放送では何か言っていましたが,音声が悪く何が起こったのかはわかりませんでした.電車が動き出したのはそれから40分後,しかも動いた方向は目的地と逆方向で日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)学会会場のPalais des Congres de Montrealした.飛行機の出発時刻まで残り少なく,駅員から聞いて事前に調べていたものとは異なるルートで必死に空港へと向かいました.しかし時間は無情にも過ぎ去り飛行機に乗り遅れてしまいました.空港にたどり着いてからのカウンターでは幸いすんなりと次の日の便に変更してもらえました.時間は午後10時も過ぎたころようやく人心地がつき,ホテル探しにかかりましたが,どこのホテルも満員だったので,スイートルームに泊まりました(ホテル料金は保険で支払ってくれるようです).ホテルのテレビでは事件で混雑した駅が映されていましたが,詳細がわかったのは後日で,空港の手前にある橋で火事が起こっていました.まさか橋で火事が起こるとは初日からついてないなと思いました.一泊したニューヨークではセントラルパークで氷河の削痕や迷子石の観察,ブロードウェイのミュージカルの看板を楽しみました.不幸なことはありましたが,テレビで見たことのあるニューヨークの町並みを直接見ることができてとても満足しました.モントリオールのホテルは費用削減のため先生と二人部屋を予約していました.しかし到着後,部屋に案内され,そこにあったベッドは1つでした(!).その瞬間先生と僕は青ざめました.フロントに聞いても案内した部屋に間違いはないと言われました.しかし,一緒に学会に参加する研究室の女性後輩の部屋(ベッド2つ)と鍵を渡し間違えていただけだったので助かりました.日本を出てからモントリオールに到着するまでにハプニングが多くて,学会開催前から大変なことばかりでした. IUCr会議自体は聴衆が多い場合に,部屋が変更になり,係員が公演時間中ずっと案内に立っているなど,整然と進んだ印象がありました.私は,鉱物学,特に結晶構造解析について勉強をしているところです.また私は隕石により形成された鉱物やガラスへの興味からXAFS法を用いた天然ガラスの局所構造について研究を行っています.その分野に関連する印象的なセッションは, MS01 Phase Transition in FunctionalInorganic Materials and MineralsやMS64 EXAFS Analysisat the Nanoscale and in Highly Disordered Materialsでした.拝聴した講演ではZhang N氏の発表が印象に残って417