ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

IUCr2014参加報告きれないほどの盛況ぶりで会場を変更するほどであった.内容はin celluloでの微小結晶からの構造解析,複数の結晶からのネーティブSAD法, shynchrotron radiationを使ったSerial crystallograpy, radiation damageの定量的な解析法,Feature enhanced mapの紹介, translational NCSの扱いなど多岐にわたりいずれも非常に興味深い内容であった.MS28 Small-angle Scattering of Biological Macromolecules最近,結晶構造解析データに加えて溶液散乱のデータを用いて結晶構造が溶液中での構造と対応していることを示す論文が増えてきた.本シンポジウムではSAXSの大家であるD. SvergunによるSAXS測定からデータ処理の自動化についての講演をはじめとしてさまざまなSAXSの活用法についての講演が行われた.印象に残っているのがJ. HopkinsによるCryoSXSの話で,クライオ条件下でSAXSを行うというものでサンプルも少量しか使わないようなのでこれからの進展が期待される内容であった.KN14 New opportunities in structural biology with XFEL:from sources to structuresMS36 XFEL Macromolecular CrystallographyS. Wakatsuki氏によるLCLSでのMAD測定を目指したビームライン開発に関する非常に興味深い講演に続いて,その後のMS36では今まさに発展しつつあるXFELを用いた構造研究に関しての講演が行われた. XFELによりどこまでのことが可能で,それによりこれまでの構造研究がどう変わっていくのか,聴衆すべてが期待していることが良く伝わってきた.MS51 Challenging Macromolecular Crystals: Twinning,Aperiodicity, and Low Resolution結晶構造解析で直面するTwinやaperiodicityなどの問題,また低分解能データに対するrefinementの方法などの講演が行われた.会場は狭かったがほぼ満席で講演の途中に会場から質問が出るなど非常にフランクな感じで行われた.難解であまりついていけない部分もあったが,解析で難問に直面した際にすぐに別の結晶を,とせずにそれに真正面から取り組むことも重要だと感じた.前回スペインのマドリッドで行われたIUCr2011にも参会場の入り口日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)加したのだが,全体的に今回はいい意味で落ち着いた印象を受けた.このような会議に参加するとやはり現実に立ち返って自分が今行っている研究に対するモチベーションが高くなるので,次回インドのハイデラバードで開催されるIUCr2017にもぜひ参加しようと思う.23rd Congress and General Assembly of theInternational Union of Crystallography(IUCrXXIII)参加報告東京工業大学大学院理工学研究科物質科学専攻上本紘平カナダ・ケベック州モントリオールのコンベンションセンターにおいて2014年8月5~12日の日程でIUCrXXIIIが開催された.前回の2011年のスペイン・マドリッドに続いての開催で,世界67カ国から約2,400名の参加者があった. 1976年にオリンピックが開催されたことでよく知られるモントリオールは人口約380万人とカナダでは2番目に大きな都市である.言語は基本的にフランス語で町中の看板や案内などはほとんどフランス語で書かれており,店に入ってもほとんどがフランス語であるが大抵は英語も通じていた.真夏に行われた学会だが,モントリオールは日本に比べればはるかに涼しく,昼でも25℃程度の日もあり,長袖のシャツを着ていてちょうどいいくらいで大変過ごしやすかった.学会はPlenary Lecture 4件,Keynote Lecture 34件, 112のMicrosymoposiumではそれぞれ6件のoral presentationが行われた.そのほかにも多数のWorkshopなどが行われており, 3年に一度の結晶学の祭典といった内容であった.初日に行われたWorkshopで“WK-06a SHELX SmallMolecule Applications Workshop”ではG. M. Sheldrickによるdual-space direct methodを用いた新しい構造解析のソフトウェアSHELXTが紹介されていた.主に低分子用だがこれまでと同じ入力ファイルで自動的に空間群決定がなされるため,対称操作の入力の必要がなく,原子のアサインまで行う.そのほかにもSQUEEZEや双晶,絶対構造決定についての発表が行われた.また, IndustrialWorkshopの“Tailor-made force fields and dispersioncorrectedDFT for crystal structure prediction and othercrystallographic application”では,ブラインドテストで好成績を収めているM. NeumannらのソフトウェアGRACEの説明があり,分子それぞれに固有の力場を作り,それを用いて結晶構造予測の候補を作っていく方法について説明を行っていた.夕方のopening ceremonyではケベック州でシルク・ドゥ・ソレイユが設立されたこともあって,エンターテイメントが織り交ぜて行われ, Ted Janssen教授のEwald Lectureへと続いた.2日目以降は主にChemical Crystallographyを中心に参加したが今回はシンポジウムのタイトルと中身があまり413