ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

ページ
49/104

このページは 日本結晶学会誌Vol56No6 の電子ブックに掲載されている49ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

日本結晶学会誌Vol56No6

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

日本結晶学会誌Vol56No6

世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み大阪市立科学館の企画展「THE結晶展」大阪市立科学館企画グループ小野昌弘Masahiro ONO: Special Exhibition“THE CRYSTALS”at Osaka Science Museum1.はじめに大阪市立科学館において, 2014年11月15日~2015年1月12日までの期間に開催した企画展「THE結晶展~これが結晶,これぞ結晶~」の内容について紹介する.1.1大阪市立科学館とは大阪市立科学館は, 1989(平成元)年に開館した物理,化学,天文等の分野を扱う理工系博物館である.当館の前身は,国内で最初にプラネタリウムを導入し, 1937(昭和12)年に開館した大阪市立電気科学館である.プラネタリウムの伝統と理工系分野の常設展示場を有し,市民に対して科学を楽しむ文化の振興を担っている.ここ数年は毎年72万人以上の来館者にお越しいただいている.当館では,この数年,例えば江戸時代の天文学者,渋川春海に関する企画展示や,色や光に関する企画展示など,当館学芸員による独自の企画展を実施し,来館者にさまざまな科学情報の提供や,科学の原理原則について理解を深めてもらっている. 2014年は,世界結晶年ということから,これに協賛し,結晶に関する資料を収集し公開することで,結晶に関するさまざまな知見を市民に提供する企画展を開催することとした.2.「THE結晶展」の内容当館には,国内の科学館で唯一の化学専門の展示場を有し,そこで,鉱物標本,人工宝石を含む宝石類,また,塩やミョウバン等さまざまな結晶資料を常設展示している.今回の企画展では,本館所蔵のこれら資料以外にさまざまな結晶に関する資料を寄贈・借用などの方法で収集し,展示を行った(写真1).本企画展「THE結晶展」では,これら展示を通じて,来館する市民に以下のような点を理解してもらうことを目的とした.◆結晶とは何か◆私たちの周りには,どのような結晶があるのか◆結晶はどのような性質をもっているのか◆結晶は,私たちにどのように関わっているのかなど今回の企画展では, 17種類の展示品を設置し,そこに約300点の資料を展示した.以下に主な展示品を紹介する.2.1大型メントール結晶植物の薄荷からオイルを抽出し,それを再結晶したもの.高さが約75 cm,幅・奥行きがそれぞれ約25 cmの巨日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)写真1結晶展会場大なメントール結晶のかたまりを展示した.これは,無色~白色状の細長いl?メントールの結晶の集まりである.約2週間かけて再結晶し作られたメントールの針状結晶が非常に長くなっていることを確認できる.(寄贈:長岡実業株式会社)2.2アルミニウム結晶アルミニウム板などに応力をかけ,焼き入れ,焼きなましをすることで,アルミニウムの単結晶が肉眼で確認できるほど成長したアルミニウム板の展示.また,それらをもとに,釣りのルアーや,名刺入れなどの実用品として作られた製品などを展示した(写真2). 30 cm角のアルミニウム板に3~5 cmほどのアルミニウム単結晶が成長したものは,前衛アート作品のようでもある.(寄贈:高野軽金株式会社,協力:株式会社UACJ)写真2アルミニウム結晶展示資料385