ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み東京大学柏図書館における「世界結晶年」企画―開館10周年記念と連携して―東京大学大学院新領域創成科学研究科,柏図書館雨宮慶幸東京大学附属図書館柏地区図書課市村櫻子Yoshiyuki AMEMIYA and Sakurako ICHIMURA: IYCr2014 Events at Kashiwa Libraryof the University of Tokyo ?Joint Project for the 10 th Anniversary of Kashiwa Library?1.はじめに本郷キャンパス,駒場キャンパスとともに東京大学の三極構造をなす柏キャンパスには,新領域創成科学研究科をはじめとして,物性研,宇宙線研,大気海洋研,カブリ数物連携宇宙研究機構など,東京大学の自然科学分野の研究所が集積している.その柏キャンパスの拠点図書館である柏図書館は2004年に開館し,本年で開館10周年を迎える.そこで,開館10周年記念として,「科学史」「世界結晶年」をテーマとして数々の記念イベントを行ってきた.テーマに「科学史」を取り上げたのは,柏キャンパスには上述の東京大学で最先端の研究をすすめる自然科学分野の研究所があり,同時に柏図書館が東大全学の自然科学分野の学術雑誌を収集・保存・提供していること.また,「世界結晶年」は, 2014年は国連が制定した世界結晶年であることによる.ここでは,柏図書館の開館10周年記念として行ったイベントの中から,「世界結晶年」との関係が深いイベントを紹介する.2.サイエンスカフェサイエンスカフェとは,文字どおりカフェを飲みながら,カフェゲスト(講演者)に1時間講演をいただき,その後,柏図書館長がカフェホストとして進行をすすめ,講演者と参加者の質疑応答を楽しむイベントとして,柏図書館の1階にあるコミュニティーサロンで毎回20名程度の人数で行っている.本年度の第1回は4月22日に,物性研の家泰弘先生に「磁石,磁力,磁場」という題目で講演していただいた(写真1).磁石に関する発見の歴史から始まり,磁性の微視的な描像の説明,さらには,現在,物性研で行われている超強力磁場の研究に至るまで,関連するエピソードも含めて,大変に興味深い講演をいただいた.講演後,持参された小さな強力磁石を使っての実験と,第二部として家先生によるギター演奏が披露された.第3回(7月24日)は,和田猛先生(東理大,東大)に「DNAの結晶から創薬へ」という題目で,お話しいただいた(写真2). X線を用いた結晶構造解析がどのように創薬に貢献しているかの話を平易に紹介していただいた.講演後には,和田先生も,自らが作製された竹笛による演奏を披露された.結晶が空間的な周期性・構造だとすれば,音楽は時間的な周期性・構造だと言える.お二人の講演者とも,音楽にも非常に長けており,学術と芸術の両面において刺激を受けるサイエンスカフェであり,好評であった.3.「寺田寅彦」の上映会日本のX線回折実験のパイオニアである寺田寅彦の映画「ねぇ君,不思議だと思いませんか?」を柏図書館1階写真1第1回サイエンスカフェ「磁石,磁力,磁場」のポスター写真2第3回サイエンスカフェ「DNAの結晶から創薬へ」のポスター366日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)