ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

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概要

日本結晶学会誌Vol56No6

世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み写真1ご講演中の坂田先生写真2ご講演中の大橋先生写真3写真4ご講演中の栗栖先生ご講演中の東先生(写真1~4は全て植草先生ご提供)するような複合体分子の話から, X線自由電子レーザーを使った将来の解析の方向性が語られ,未来志向な講演であった.最後の講演は,東先生が,無機材料領域からということで,中性子回折を使った材料開発についてお話された.無機物は特に放射光や中性子線,さらに圧力,磁場,電場などの異なった環境下での測定が多いそうで,しかも,精密構造解析を行うことで構造と物性を関連付ける研究が主流とのことであった.さらにご専門のBiNiO 3というペロブスカイト構造をもつ化合物についての研究例が紹介され,ある条件では温度を上げると体積が減少する,負の熱膨張を示す系があるとのことであった.これは樹脂に分散させることで,熱膨張を抑制するという産業的な応用も紹介され興味深かった.会場には,化学会の春季年会ということもあり,若い学生さんの聴講も目立っており,結晶学の広い分野からの講演は,結晶学を印象付ける点でよかったのではないかと感じた.また,この企画講演は「現在・過去・未来」をカバーしており,世界結晶年の春に行われた企画として,意義深いことであったと思われる.なお,この特別企画は好評だったそうで,日本化学会の秋季事業であるCSJ化学フェスタ(2014年10月16日(木)13時~17時30分・タワーホール船堀)では,依頼により,テーマ企画講演会「ここまでできる最新の結晶解析【世界結晶年2014】」(オーガナイザー:植草秀裕先生,企画担当委員:田中紳一郎氏)が開催された.こちらは化学会でも特に結晶学に馴染みのない聴衆を意識して,結晶構造解析でここまでできます,というストーリーで組まれていた.ここでは以下に講演プログラムのみ収録する.写真5講演会場の様子趣旨説明田中紳一郎(住友化学)結晶の中で再現する蛋白質の生理機能禾晃和(横浜市立大学)放射光を利用した極微小単結晶構造解析の現状安田伸広(高輝度光科学研究センター)粉末X線回折データでできる,有機物結晶の構造解析植草秀裕(東京工業大学)パルス中性子を用いた構造研究の進展石垣徹(茨城大学)X線・中性子回折によるセラミック材料の機能解明と新材料開発藤井孝太郎(東京工業大学)日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)365