ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

ページ
17/104

このページは 日本結晶学会誌Vol56No6 の電子ブックに掲載されている17ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

日本結晶学会誌Vol56No6

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

日本結晶学会誌Vol56No6

世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み写真,中谷先生の雪の結晶分類図を基にデザインされている.作成には,リガク㈱,日本電子㈱,浜松フォトニクス㈱,日本製薬団体連合会,量子ビーム施設J-PARC, KEK PhotonFactory,理研放射光科学総合研究センター(SPring-8/SACLA)の協賛をいただいた.3.活動の概要これまで,実行委員会が進めてきた活動は,1)関連32学協会による世界結晶年イベントの企画支援2)国立博物館の広報誌ミルシルの特集号など,印刷媒体による広報支援3)日本委員会の主催するシンポジウムの企画・開催.特に文化・芸術分野との連携の3つに分類できる.まず,1)については,日本高分子学会をはじめ多くの学会で,年会にジョイントする形で,シンポジウムが開催されている.詳細は,世界結晶年のWebサイトに掲載されているので,そちらをご覧いただきたい.次に,2)は,日本委員会副委員長である栗原和枝(東北大)が国立科学博物館と企画し実現した広報誌milsil(ミルシル)の連載,『世界結晶年特集シリーズ「結晶原子・分子の世界への入り口」』が,その代表的なものである.栗原とともに,大橋裕二(東京工業大学,名誉),宮脇律郎(国立科学博物館),高田昌樹(理化学研究所)が監修し, 11回シリーズの企画で進められ,最終号の出版を残すのみとなっている.シリーズのタイトルと執筆者を列挙すると,34号:結晶学発展の歴史(大橋裕二), 35号:結晶学を進歩させたX線と中性子(高田昌樹), 36号:高温超伝導の発見と結晶学が果たした役割(秋光純), 37号:青色発光ダイオードの実現(赤崎勇), 38号:結晶学が開いたライフサイエンスの扉(岩田想), 39号:結晶構造解析が解き明かす光合成の謎(沈建仁), 40号:地球深部を構成する物質(八木健彦), 41号:分子を閉じ込める結晶:包摂結晶(栗原和枝), 42号:科学は“よく見る”ことから始まる(飯島澄男), 43号:ミクロの世界に刻まれたマクロな物語(宮脇律郎), 44号(予定):結晶を『見る』(仮)(門馬綱一)となり,寺田,西川から100年を経て結晶学が実に多彩な学術領域に展開していったかを物語っている.中でも特筆すべきは,世界結晶年が始まった2014年1月1日号である第37号の原稿を執筆した赤崎勇先生が, 2014年ノーベル物理学賞を「青色発光ダイオード(LED)の発明」で,天野浩氏,中村修二氏らとともに受賞したことである.赤崎先生は,その原稿の中で,“高品質窒化ガリウム(GaN)系半導体による高性能青色LEDを実現した“結晶成長”は,「結晶学」を中心に,物理学,化学,電子工学,物質科学などの融合する極めて学際的な科学である”と述べられている(図2).まさに,日本の結晶学の100年の発展の歴史を象徴する慶事であったと言えよう.日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)図2ミルシル2014年1月1日号赤崎勇先生原稿図3世界結晶年オープニングシンポジウム講演者と司会者たち(日本学術会議)3)では, 2014年1月23日に日本学術会議講堂において,世界結晶年オープニングシンポジウムを開催した.飯島澄男日本委員会委員長と大西隆日本学術会議会長の挨拶のあと,藤吉好則,入江正浩,佐崎元,廣瀬敬,秋光純らのナノからバイオ,地球科学までさまざまな学術分野の著名な研究者たちが結晶学とのかかわりについて講演し,世界結晶年を祝うことの意義について語った.その後, 2月16日にMOA美術館と共催した講演会「文化財を甦らせる結晶学」が行われ,栗栖源嗣(大阪大学),中井泉(東京理科大学)に加え日本画家の森山知己氏が,尾形光琳「紅白梅図屏風」(国宝)に描かれた水流が銀箔を用いて描かれていることを,どう結晶学で明らかにしたか,そして,その美術・芸術学上の意義について講演し, 120名を超える聴衆を魅了した(図4).詳細は他稿にゆずる.353