ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

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日本結晶学会誌Vol56No6

世界結晶年(IYCr2014)日本の取り組み表1賛同学協会願いをするにあたり,関連の学協会に世界結晶年を実現する活動への支援を呼びかけようと,坂田誠結晶学会会長(当時),高田昌樹IUCr国内委員会委員長,学術会議IUCr分科会委員長の連名で依頼し, IUCr分科会委員の高原淳先生など多くの先生が学協会への依頼を仲介くださり,またSPring-8の藤原明比古先生がまとめの労をとってくださって, 28の学協会や団体より賛同の回答をいただいた.これらのリストを添えて,大西会長から玄葉外務大臣(当時)に依頼が提出された(図1).さらに,賛同学会数は最終的には32となり,世界結晶年の活動を横につなぐネットワークとなった(表1).このような日本での活発な支援活動もあり,最初は夏過ぎに国連総会で決議される予定と聞いていたのだが,予想外に早く2012年の7月には可決されたというニュースがレスターのIUCr事務局からもたらされ,一同ほっとしながら次のステージを考えることとなった.3.日本委員会の発足2014年が世界結晶年として設定され,組織と活動の内容を準備する必要があった.結晶学の広がりは,世界結晶年の制定を推進することに賛同した学会の数の多さからも明らかであり,結晶学会が運営の実務の責任を取りなが日本結晶学会誌第56巻第6号(2014)ら,なるべく広く開かれた日本委員会と実行委員会を組織したいというのが関係者の希望であった.それを受け,日本委員会を組織するための準備委員会が, 2012年10月26日,日本結晶学会年会(東北大学,片平キャンパス)の機会に主な学会の関係者に声がけして開催された.そこで,主要な役目をお願いする研究者を決めそれぞれの意向を伺った上で, 2013年1月14日に第26回日本放射光学会年会(名古屋大学)の折に開催された第2回準備委員会で委員を決定した.日本委員会の委員長は飯島澄男教授(名城大学),副委員長は大橋IUCr元会長,坂田結晶学会会長,三木邦夫次期結晶学会会長,栗原和枝IUCr分科会委員長であり,結晶学分野の主要学会や学術会議の関係分野の先生方に委員をお願いした.また,日本委員会には科学ジャーナリストの辻篤子氏(朝日新聞)が委員に加わってくださった.実行委員会の委員長は高田IUCr国内委員会委員長であり,副委員長は菅原洋子IUCr分科会幹事と中川敦史前蛋白質学会会長となった.それぞれの委員会の名簿を文末に添付する.また,第2回準備委員会では,ホームページの準備状況や各学会で考えている活動の準備状況が紹介され,少しずつ世界結晶年の日本の活動が各学会で開始され始めた様子がわかった.その後は個別に準備が進められ,第1回の日本委員会は2013年9月16日に台風の嵐の中,それでも半数以上の委員の参加を得て開催された.全体の委員が一堂に会したのは, 2014年1月23日に日本学術会議で開催された世界結晶年発足シンポジウムであったが,オープニングには百名を優に超える出席者があり,世界結晶年のスタートを祝うことができた.なお,世界結晶年の世界全体のオープニングは2014年1月20, 21日にパリのユネスコ本部で開催され,日本から大橋先生と高田先生が学術会議代表として派遣された.4.世界結晶年の目標と活動日本での活動の紹介の前に,世界結晶年の制定にあたり掲げられた全体の目標を紹介すると,以下のとおりである.(1)現代結晶学誕生となったLaue-Bragg発見100年を記念すること,(2)世界の研究者の間での国際的な共同研究を育成すること,(3)世界結晶年の祝典の中で,世界中の多くの放射光施設の協力を得て, UNESCOのSESAMEプロジェクトを盛り上げること,(4)結晶学に対する一般の人々の関心を高めること,(5)結晶学が現代社会の技術的な発展の土台となっていることを一般の人々に認識してもらうこと,(6)結晶学の教育を発展させ,他の科学との連携を深めること,349