ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No4

ページ
20/116

このページは 日本結晶学会誌Vol56No4 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

日本結晶学会誌Vol56No4

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

日本結晶学会誌Vol56No4

熊崎薫,濡木理,石谷隆一郎図4脂質への再構成.(Reconstitution of membrane proteinsinto an LCP.)(a)カップラーにより接続されたシリンジ.(b, c)(a)の四角枠内の拡大図.タンパク質溶液とモノオレインを混合した直後は,部分的にラメラ相になった脂質の白濁が見られるが(bの丸枠内),タンパク質が完全にキュービック相に再構成されると透明になる(c).図3LCP法による結晶化で用いる試薬・器具.(Lipids andtools for LCP crystallization.)(a)LCP法でよく使用される脂質であるモノオレインと7.7MAGの分子構造.(b)タンパク質の脂質への再構成に用いる器具.(c)mosquito R LCP(TTP Labtech).(d)Gryphon LCP(Art Robbins Instruments).ミルトンシリンジ用のカップラー(TTP Labtech, 3072-01050)などがある(図3b).また,結晶化ロボットによっては専用のシリンジが販売されている(例えばGryphon(Art Robbins Instruments)など).3.1.3結晶化プレートLCP法による結晶化では,サンドイッチプレートや,シッティングドロッププレート,ハンギングドロッププレートが用いられる.サンドイッチプレートとしてはLaminex(Molecular dimension, MD11-50-100)やLipidic CubicPhase Screening plate(Swissci)などが代表的である.シッティングドロッププレート,ハンギングドロッププレートとしては,通常の蒸気拡散法で用いられるものと同じプレートが使用できる.3.1.4結晶化ロボット結晶化ロボットもいくつかの会社から販売されている.日本で使用されている代表的なものにはmosquitoR LCP(TTP Labtech)やGryphon LCP(Art Robbins Instruments)がある(図3c, d).このような結晶化ロボットを使用せずとも結晶化することはもちろん可能であるが,本稿では省略する.3.1.5結晶化スクリーニングキットLCP法で結晶化スクリーニングするためのリザーバー溶液のキットであるMemMeso?がMolecular Dimensionsから販売されている.また, MemGold?やMemSys?,MemStart?など(いずれもMolecular Dimensions)のキットも利用できる.3.2膜タンパク質の再構成ここでは,脂質としてモノオレインを使用した場合を例に説明をする.モノオレインへの膜タンパク質の再構成は, 2本のガスタイトシリンジの先端をカップラーと呼ばれる器具によって接続して行う.まずモノオレインは室温では固体であるので, 40℃程度に温めて融解する.そして,融解したモノオレインを一方のシリンジに底部から充填し,もう一方のシリンジに,モノオレインと重量比で3:2(モノオレイン:タンパク質溶液)となる量のタンパク質溶液を充填する.片方のシリンジの先端にカップラーを接続し,シリンジやカップラー内の空気を完全に追い出した後,気泡が入らないように注意しながら, 2つのシリンジを接続する.その後,プランジャーを交互に押し込むことで,サンプルを均一化させる(図4a).この際,一秒につき一度の間隔でプランジャーを押し,サンプルが透明になるまで繰り返す(図4b, c).これによって,モノオレインがキュービック相へと変化するとともに,膜タンパク質がキュービック相へ再構成される.3.3結晶化LCP法による結晶化では,結晶化プレートとしてサンドイッチプレートやシッティングドロッププレート,ハンギングドロッププレートなどを用いた方法がある.結晶化ロボットを用いた場合,いずれのプレートを用いた場合でも, 25~100 nlのLCPドロップに800~1000 nlのリザーバー溶液を被せて結晶化するのが一般的である.まず,シリンジからカップラーを取り外し,替わりにニードルを接続し,結晶化ロボットにシリンジを取り付ける.この際,結晶化ロボットによっては専用のシリンジやニードルの232日本結晶学会誌第56巻第4号(2014)