ブックタイトル日本結晶学会誌Vol56No4

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日本結晶学会誌Vol56No4

特集:生物研究における結晶学-生命現象の可視化への挑戦-日本結晶学会誌56,223(2014)生物研究における結晶学-生命現象の可視化への挑戦-特集号担当:宮原郁子,五十嵐教之,田中信忠,栗栖源嗣Ikuko MIYAHARA, Noriyuki IGARASHI, Nobutada TANAKA and Genji KURISU:Crystallography in Biology; Visualization of Biological Process今年の結晶学会誌では毎号ミニ特集を組んでおり,第1号では新時代の結晶学ということで,X線自由電子レーザーに焦点をあてた記事の特集が企画されました.その後は各分野での特集を企画し,第2号の物理分野,第3号の鉱物分野の記事に次いで今回は生物分野の特集となります.世界結晶年にふさわしい特集となるよう,それぞれの執筆者の方にはご自身の研究の紹介に加えて,未来への期待や展望を生物分野以外の方にも読んでいただけるような記事にしてくださいとお願いいたしました.生命現象を担う重要な役割を果たしているタンパク質は,三次元立体構造を作ることで初めて機能するため,結晶を構成する分子の分子量にかかわらず,直接原子配置を決めることができるX線構造解析は,構造生物学にとってはなくてはならない手法です. 1960年には,タンパク質分子を構成する各原子の位置を決められるようになっていましたが,その後しばらくは構造解析の対象となるタンパク質分子は限られたものであり,また, 1つの構造を決めるのに10数年かかるのが普通でした.ところが, 1995年頃からタンパク質構造データバンク(Protein Data Bank;PDB)に登録される構造データの数が一気に増えます.それまでの全体の登録数が全部で2千件程度だったものが,毎年2千件登録されるようになっているのですから驚きです.結晶学会誌での生物分野の特集を振り返ってみると,まさに1996年に『タンパク質結晶学と構造生物学』という企画があり,立体構造をもとに生物学を論じる構造生物学という分野が認識された,とあります.その後さらに約10年経った2003年には『タンパク質結晶学のブレイクスルー』という特集が組まれ,方法論の発展だけではなく,何を研究するのかという基本的な立場すら変わってきた状況を報告しています.それからさらに10年が経ちました.このような状況の中で,われわれ特集号担当者はこれからのタンパク質結晶学で何をトピックスとして取り上げるかを議論し,中堅の研究者に現状の概観と未来像を語ってもらうということでいくつかのテーマを取り上げました.現在,タンパク質結晶学では何がテーマで,これからどういったことが研究されていくのかといったことを,生物学結晶研究者のみならず他分野の研究者の皆様にも知っていただければと思います.最後にこの紙面をお借りいたしまして,お忙しい中原稿をお寄せいただきました執筆者の方に担当者一同,厚くお礼申し上げます.日本結晶学会誌第56巻第4号(2014)223