ブックタイトル日本結晶学会誌Vol55No5

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概要

日本結晶学会誌Vol55No5

安井伸太郎,舟窪浩,坂田修身図9電界印加下における(a)BiFeO 3および(b)0.16BiCoO 3-0.84BiFeO 3薄膜の004回折の時間依存性.(Timedependence of 004 diffraction under electric field in(a)BiFeO 3 and(b)0.16BiCoO 3-0.84BiFeO 3 thin films.)ネルギーと機械エネルギーの変換係数とも呼べる電歪係数Qを以下の式より求めることが可能となる.2 2E r? x = Q( P ?P)(2)ここで, P Eは電界Eにおける分極値, P r電界除去後の残留分極値である.4.2 BiCoO 3-BiFeO 3エピタキシャル薄膜の圧電特性前項の測定装置を用いて,(100)cSrRuO 3//(100)SrTiO 3基板上に作製した0.16BiCoO 3-0.84BiFeO 3エピタキシャル薄膜の圧電性を測定した結果を紹介する.対照実験として同条件で作製したBiFeO 3薄膜の結果を示した.図9に電界印加下におけるBiFeO 3および0.16BiCoO 3-0.84BiFeO 3薄膜の004回折の時間依存性を示す.電圧には15 V, 200 nsのパルス矩形波を用いた.電界印加下では回折ピークは低角側にシフトしていることがわかる.電界印加により格子が伸びていることを示す.また,電界を除去した後には通常の状態に可逆的に戻ることもわかった.各電圧に対して実験を行い,電界印加下における004回折ピークおよびその結果から計算した格子歪を図10に示す.図10aおよびbの結果より,電圧を大きくするにつれて,回折ピークは低角側にシフトすることがわかる.図10cの格子歪と電界の関係の結果より,その変化は直線的であり,式(1)より圧電性であることが考えられる.ここで電歪的振る舞いを示したのであれば,この結果は二次関数を示すはずで図10各電界印加下における(a)BiFeO 3および(b)0.16BiCoO 3-0.84BiFeO 3薄膜の004回折および(c)歪-電界曲線.(004 diffractions under various electricfield in(a)BiFeO 3 and(b)0.16BiCoO 3-0.84BiFeO 3thin films and(c)Strain-Electric field curve.)ある.式(1)より,この傾きは圧電定数dを求めることができ, BiFeO 3薄膜および0.16BiCoO 3-0.84BiFeO 3薄膜の圧電定数はそれぞれ28 pm/Vおよび63 pm/Vであることがわかった.さらに同時に測定した分極値の結果を用いて,式(2)に対応する実験的結果を図11に示す.これらは直線的に振る舞うことがわかり,その傾きから求められる電歪係数Qはそれぞれ1.4×10 ?2 m 4 /C 2および3.6×10 ?2 m 4 /C 2であった.これらの結果より,正方晶BiCoO 3と固溶体を作製することで材料が示す圧電性は大きくなり,さらに電歪係数が大きくなったことから,材料はソフト化したと考300日本結晶学会誌第55巻第5号(2013)